今回は私のレッスンでよく使う教材として前回にも紹介した、リック・ムーニー編 ポジションピースの第二巻について見てみたいと思います。
 
この本の特徴としては第五から第七ポジションという中ポジションだけに的を絞って扱われているということ。大抵の教本では一冊で中ポジションだけしか扱わないという本はほとんど無く、沢山あるポジション練習の中の一部分として、極あっさりと触れられるに過ぎません。
しかも、それらの練習はフィヤールの「毎日の練習」に見るように、良く出来ているにもかかわらず無味乾燥で退屈なものです。
 
第五から第七という中ポジションは、チェロという楽器の構造面からくる窮屈さというか不安定さから、その習得には困難をともない。ハイポジションへの橋渡しとして、またチェロをチェロらしく鳴らすために、これらのポジションに習熟することはチェロ演奏にとっては不可欠でもあります。
 
しかし、実際にこれら中ポジションを集中的に練習しようとすると、効果的な教材は意外と少ないものです。先ほど述べた、昔から使われているフィヤールの「毎日の練習」でも、効果的ではあるものの内容は退屈で脱落することがほとんどです。
 
そこで、紹介するのはリック・ムーニーのポジションピース 第二巻です。
これは第一巻と同様、本編はチェロの二重奏で書かれています。
本編の前には予備練習として、それぞれのポジションには大きく分けて3つのパターンがあり(つまり、1と2指が全音、2と3が半音のパターンⅠ、1と2が半音2と3が全音のパターンⅡ、1と2、2と3全てが全音のパターンⅢ)、その基本的な指の形を詳しく写真入りで説明されています。この配慮はチェロを習う者にとってはとても参考になるでしょう。
 
中ポジションがなんとか弾けるようになれば、いよいよ親指のポジションの練習に入ります。
親指のポジションはとても難しいと思っている方は多いと思いますが、親指が指板のうえに上がってしまえば意外と楽に弾けるものです。
いかに中ポジションから親指のポジションへと橋渡しがスムーズにできるか、それが問題なのです。その面で中ポジションの安定は不可欠なのです。
 
リック・ムーニーの親指ポジションの教本についても、また機会があれば紹介致します。
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