◎ 3 オケマン、その生活の格差

さて、そんな食えないオーケストラに入って楽団員達は皆、どうやって生活しているのでしょうか。
私自身も過去に広響、九響と数年間オケの団員として過ごしましたが、それは金銭的に苦しい生活でした。
オケマンの家庭で、奥様達も音楽をやっている場合は子供にピアノを教えたりバイオリンを教えたり、そうでない場合は大抵別の仕事をして共稼ぎしているということがほとんどです。

でもなかには優雅な生活をしている者もいます。
豪邸に住み、外車を乗り回す。身嗜みはチャラ男そのもの。オケの給料は小遣い銭。
彼らは大抵、実家が裕福であることがほとんどで、皆、いい歳になっても親の脛かじりばかりです。地元の有力者のバカ息子とか、大金持ちの御曹子など、特に地方オケにはそんな連中が多く見られます
オケではそんな連中が幅をきかせていることが多く、よく目立ちます。音楽家になるのは金がかかるので基本的にそんな金持ちの家庭出身者が有利なのです。努力だけではどうしようもない問題が悔しいかな確実にあります。音楽に苦学は通用しません。

表面的にオケマンの生活は苦しいといくら言っても、そんな連中ばかりが目立っているので世間的にはオーケストラは儲かる仕事だと勘違いしている方は残念ながら結構多いようです。
私の妻も昔、息子のママ友から“お宅のご主人、オーケストラにお勤めで、さぞかしがっぽり稼いでいるんでしょうね?”とよく言われるとぼやいていましたっけ。
そりゃそう思うでしょうよ。立派な家に住んで高級外車を乗り回しているのですから!
(私は違いますよ!)
基本的に音楽家は裕福な家庭で育っているので、いくら苦しいとは言っても、その言葉にはどこか真実味がないんです。実際本当に生活で苦しんでいるオケマンなどあまりいないのではないかと思います。
皆と同じ仕事をし、同じような給料しかもらえないオーケストラという職場で、これだけの生活格差がある団体って他にあまりないのではないでしょうか?

オーケストラプレイヤーというと世間では特別な職業、優雅な生活をしていると思われがちです。実際にそんな演奏家も沢山います。しかしなかには慎ましく清貧を貫いている音楽家もいることを忘れないでくださいね!

私のように。

続く