向き不向き

親からNIKKAN製のフルートを買ってもらい、レッスンに通うことになりました。その時の先生は野田温子先生。私と同じく大阪音大を附属高校から行かれた先生で、音高を受験したい私としてはまさに好都合です。週一回、宝塚市にある先生のお宅に通うことは忙しい中学生にとっては結構大変でしたが、レッスンはほんとに楽しい時間でした。
とにかくフルートとピアノばかり弾いていました。
先生の指導が良かったためか、フルートはめきめき上達しました。其ノ一の章ではフルートは自分には向かないのでは、などと申し上げましたが、結局は自分にはフルートが向いていたのかも知れません。
本当は物事の向き不向きなど自分ではわからないのかも知れませんね。死ぬまで気が付かないこともあるのではないでしょうか。わからないからこそ人はいろいろなことにチャレンジし努力するのです。
どの分野でも、自分はその仕事に向いているとか向いていなんて、なかなかわかりません。自分には気がついていないだけで、凄い能力が隠されているのかも知れないのです。認知症にもよく似たことが言えます。認知症は自分では気が付かないことがほとんど。自分で認知症だと言っている人はたいてい正常です。周りの者の気付きによって初めてそれと分かる事が多いのです。音楽も同じで、本人には自覚はないが何か光るものを持っているということはよくあります。音楽でも他人がその適性に気付くことは結構多いものです。
しかし無い才能を搾り出しわずかな光を見出だし、努力して本当の才能にまで昇華させることが出来るのも人間、持っている才能に一生気が付かないのも人間。結局結果そのものよりも、その努力する過程が尊いのだと思います。