◎ 先入観と演奏

私達が普段音楽作品を演奏する時、かなり多い割合で先入観が働いています。先入観だけで演奏しているといってもいいくらいです。例えばアレグロ=早いもの、アダージョ=遅いもの、ピアノ=小さな音のもの、フォルテ=どでかく、スタッカート=短く切るもの、等など数限りなくあります。
つまり、fの文字が見えれば条件反射的に強く弾き、Pが見えれば何も考えずに、小さく弾いてしまいます。
(現実は本当のフォルテもピアノも無い演奏が多いものですが。)
また、音符に・があれば迷うことなく音を短く切って演奏してしまいます。
しかし本来、表情記号や速度記号など、実に複雑で一曲一曲まったく異なりますし、ひとつの表情や表現法など存在しないといってもいいくらいです。また皆が思っているのとは正反対のことを要求していることすらあります。ですからひとつのパターンでどんな曲も当て嵌めてしまおうという態度はあまりにも乱暴過ぎます。音楽が類型化されるのは危険です。
しかし、私達が演奏しようとし聞く音楽はあまりにも類型化され過ぎているのが現実です。
私など、これは音楽の初期教育のまずさがもろに形になって出たものだと思っています。それがまさに負の連鎖を起こしています。

ではそれが何故まずいのか?

続く