◎ 波に乗る

あの人は空気が読める人だとか、全然読めないという言われ方を良くしますが、これも気配を感じることと似たような関係があります。
すべて同じ波に乗れるか乗れないかの差を指します。円滑な社会生活を送ることすべてがこれにかかっています。

音楽においても気配を感じたり空気を読み同じ波に乗ることなしに演奏は成り立ちません。
オーケストラでも全員が同じ空気感の中で演奏しなければ良い演奏になるはずもありません。これは各個人の趣味や考えとは関係なく合奏するためには絶対必要なことです。社会の縮図オーケストラのように大所帯では全員が同じ趣味や考えで集まるということなど有り得ません。そこで全員を束ねるものとして必要なのは、各自その場の空気を読むこと。そして好む好まない関係なく同じ波に乗ること。これしかありません。ですから、オーケストラで演奏する事はストレスも多くなるのです。
目的地にたどり着くためには乗り物が必要です。速い事を好む人は飛行機で、ゆっくり行きたい人はバスで行くでしょう。しかし飛行機に乗る人も性格は疎らで同じ考えの人など誰もいません。バスもしかり。しかし性格が合わないからといって飛行機から飛び降りることはできません。この乗り物こそがつまりオーケストラであり合唱団なのです。
社会で言えば国家にあたります。
新幹線に乗る時も、もっと早く行きたいからといって途中で飛行機に乗り換えるのは不可能です。オーケストラの場合も自分は速いテンポが好きだからといって自分だけ早く弾くことは、大事故を招くだけです(時々、速く弾いて先に終わっている人もいますが…そんなに早く家に帰りたいのでしょうかね?…笑)

音楽のレッスンの場合も、いかにそのレッスンの波に乗れるか乗れないかで成果は大きく違ってきます。
生徒も自らレッスンの波に乗る努力が必要です。この努力とは日ごろの練習にあたります。そして“やる気”です。教師の方も波に乗れず溺れかかっている生徒を助けなければなりません。
生徒を良い波に最も乗せやすくするのはやはりデュエットなどの合奏をする事。これ以外ありません。これで波に乗れず溺れている人を助け出すことができるのです。
そして良い波に乗せるには良い乗り物(教材)が必要。それを選ぶのも教師の指命です。音楽、いや社会の縮図を身をもって体験するためにも良いレッスンが必要となってくる事が理解出来るでしょう。

それぞれが最高の波に乗り互いに高め合う。これが理想の音楽、社会です。

終わり