◎ ひじょうに漠然としたタイトルです。

ところで皆さんはチェロに日々何を求めて弾いておられるのでしょうか。元々、どんな理由でチェロに惹かれたのでしょうか?

チェロを習い始めた理由はさまざまだったと思います。
テレビのBGMなどで聞こえてくるチェロの音に憧れ、自分もあのような音がする楽器を弾いてみたい、あるいはチェロを弾く格好に憧れを感じた。老後の楽しみ、ボケ防止などさまざまな理由はあると思います。

でも基本的にチェロを始めたからには、チェロを楽しみたい、チェロが上手になりたいということには変わりがないのではないでしょうか?
苦しむためにチェロを始めたのではないはずです。
しかし、レッスンで弾かされるのは解放弦ばかり。あるいは退屈なエチュードばかり。
そして、レッスンでは怒られてばかり。
これでは退屈でちっとも面白くない。将来も見えない。
この先、はたして自分が弾きたかった曲など弾けるようになるのだろうか。そんなこんなで苛立つばかり。
こんな悩みを持つ方は多いでしょう。
しかし、ただ上手になりたいではあまりにも漠然としています。急にドボルジャークの協奏曲が弾けるわけでもないし、明日、リサイタルを開催できるわけでもありません。 雲を掴むような話です。
どんな楽器もそうですが、チェロが上手くなるにも、地道な努力と根気が必要不可欠です。時には一見無意味に思える指の訓練を強要され、心が折れそうになることもあるでしょう。苦しい事ばかりが目立ちます。
では何を心の拠り所として頑張れば良いのか。
しかし、チェロを始めとして楽器が楽しく、且つ上手くなるには、方法がひとつだけあります。

それは、今やっていることを、たとえ一見つまらさそうに見えるものでも、とことん楽しむことです。楽しみを見つける、それしかありません。つまり今現在を全力で楽しむこと。
“なーんだ”、と思われるかも知れませんが、実際それしかないのです。
それはある意味、充実した人生の過ごし方と共通しています。
明日交通事故に遭うかもしれない、後1時間経つと殺されるかもしれない。こんなこと考えてなど生きてはいけません。
将来の不安を今、いくら思い煩っても、どうしようもないのです。今現在を十分楽しみながら過ごしても同じ一生。今現在を精一杯生きる。苦労でさえも高い視線から俯瞰し冷静に眺めるだけで楽しみに変わることもあるのです。
音楽もまさに人生と同じ。
苦しい練習を泣きながら耐えても、はたして将来上手になれる保証などどこにもないのです。それなら現在を楽しむしかありません。泣いても一生、笑っても一生!

例えば、睡眠を思い出して下さい。一日楽しく充実して過ごせば良い充実した睡眠が得られるでしょう?
ストレスだらけで嫌な思いをした日は寝付きが悪いものです。
楽器の練習も全てそれと同じです。
今やっている事に意味を見出だし、楽しみに持って行く。これが実践出来れば将来の音楽生活が豊かになること、間違いありません。上手くなること請け合いです。
上手くなるには、いかに今現在を楽しく練習できるかにかかっているのです。

続く