其ノ十二
ガット弦の扱い方 1

この章ではプレーンのガット弦の使い方についてお話しします。
まずガットでチェロを弾く時に重要なことは、ガット弦は使いにくい、という先入観を捨て去ることです。
確かにスチール弦に比べると色々な手入れも必要ですし調弦もアジャスターで一発、ということにはなりません。
しかし、その手間をガット弦ならではの楽しみ方として捉えると、ガット弦が人間味があって温かくとても親しみやすいものだということが実感出来ることは間違いありません。
弦の取り扱いを楽しみとして捉えるくらいの心の余裕を持ちたいものですね。

プレーンガット弦を使うに際してまず準備しないといけないのは、テイルピースはアジャスターのない物に取り替えることです。
スチール弦で弾く場合でも本来はアジャスターがない方が音はいいでのです。ただ何となく便利がいいからとか、楽器に初めからついていたという理由で使っているという方も多いと思います。
ガット弦は柔軟なので糸巻きだけでも楽に調弦できます。
ここで大事なことは弓で弦を弾きながら左手で糸巻きが回しやすいように糸巻きの角度を調整することです。糸巻きの穴に入れる弦の長さを調整すれば簡単に回しやすい角度にすることができます。