其ノ六
象の鼻

さて、弓も何とか持つことが出来るようになりました。
ここで、やっとボゥイングの練習に入ります。
まず、弓を持たず、四分音符M・M=40から50位、四分音符で腕全体を象の鼻のように振ります。振幅は大きく、また小さく。手の平は軽く右を向けておきます。手の平が右の方を向いていないと、手首から先が動きません。
腕を振る時は、上半身の動きに注意してください。 肩の付け根から先だけを振るのではなく、上半身を楽に、肩全体から振るのがコツです。この時、指先まで力が抜けていることが大切です。
象は鼻をどのようにして振っているかを想像してみてください。鼻だけ振っているのではなく、頭部から振っているのを見たことがある、という人も多いことでしょう。彼らは頭部の動きによって鼻を振っているのです。
または、イルカやジンベイ鮫のような海の動物が泳ぐところを想像しても良いでしょう。彼らは尾びれだけ振って泳いでいるのではなく、身体全体を使って尾びれを振っているはずです。
このような動物のしなやかな動作は見ていて、とても勉強になります。
私達も弓を手先だけで弾かず、身体全体で弾いているようなイメージで弾きましょう。

次に、同じテンポで八分音符で振ってみます。意識は四分音符の時よりも、肘から先に。肩を使ってよりしなやかに振る感じです。
さらに十六分音符でやってみます。この時、意識は手首から先に。指先までしなやかに振ることが出来れば、弓を自然に操るために必要な準備が整ったことになります。

次に実際に弓を持って、Gの解放弦を弾いてみます。
つづく