其ノ四
親指の問題

さて次に、弓を保持する親指の問題があります。
親指は弓の重さや他の指の圧力を一身に受け止めなければならないため、構え方はとても重要です。
教則本や実際のレッスンでも、“親指は突っ張らないで”とか“丸く構え、親指先の角が弓に当たるように持つ、と教えたりしますが、手の構造を考えると、はたしてその構え方だけが正しいのでしょうか。
手全体の筋肉が弱い人や子供など、教則本通りの構え方では上手くいかない場合が多いものです。そんな時、親指が伸びていたりしても、全く問題がないと思います。また強い力を受け止る親指にとって合理的でもあります。
それでは音色が固くなるとか手首が固まるなどと言われるかも知れません。しかし音色は親指だけで作られるものではありませんし、身体の他の部分で十分補えるものです。
少なくとも手をパッと軽く開いて、親指が外に反って開く人は、その開いた状態で保持するのが一番楽なはずです。
無理に矯正する必要はありません。
次に子供の場合を考えてみます。

つづく