◎ 続き

では、駒の高さはどれくらいが最も弾きやすのでしょうか。
まず、A線で見ていきますと、弦と指板との距離が指板の駒寄り最端部で5ミリが理想的です。この高さなら中ポジションから高ポジションにおいても左指が機能的に動きますし、音色も輝かしく響きます。ただし、これは指板の反りが標準的に削られている場合の話です。中には中ポジション辺りが削り過ぎて反りが強すぎる楽器もあります。このような楽器はたとえ駒を低くしたとしても弾き難さには変わりはありません。

指の力が弱い女性や、まだチェロに慣れていない初心者では、もう少し低くするのは仕方がないことでしょう。しかし低くし過ぎるとか弱い音になってしまい、チェロ独特の輝かしい音色が損なわれてしまいますので、私としてはあまりお勧めはできません。標準の高さに慣れるべきです。
 これが1ミリ増えて6ミリになってもC線では距離が1センチ又はそれ以上に広がってしまうので弦が押さえ難くとても弾き辛くなってしまいます。音も詰まり気味になります。

駒はG線を頂点として少しずつ高くなっているべきもので(稀にA線からC線に向かって指板が下がっている楽器がありますが、このような楽器は正しい指板に付け替えなければなりません)、例えば反対にC線がもしも5ミリの低さだとすれば、張りの弱いC線は弓を弦に当てる度に指板に触れ、雑音を発することになってしまうのです。
A線から少しずつ高くなりC線では8ミリが理想的です。

高さが季節によって変化する指板、それにいかにして対応するのか?高くなった駒をいちいち削って低くするのでしょうか。

多くのプロが取っている方法は、夏用の駒と冬用の駒を使い分けるという方法です。(中には、もっとたくさんの駒を頻繁に替える人もいますが、楽器のバランスが安定しないので、私としてはあまりお勧めできません。)尚、駒は自分では取り替えずに楽器職人に立て替えてもらうべきでしょう。

アマチュアでは、いちいち立て替えるのも面倒ですので、どちらの季節でも使えるようになギリギリの高さの駒を立てるというのもひとつの方法です。
例えば季節による変動の幅が1ミリだとすると、夏季に5・5ミリにしておけば冬季は指板が上がって4・5ミリになります。これならなんとか妥協して使うことができるのではないでしょうか。
あくまで自分の楽器が季節によってどれくらい変動するかを把握しておく必要はありますが。

終わり