DSCN0091ヴィラ・ヴェーゼンドゥンク

素晴らしい眺めです。羊が飼われている一角もあります。
これらの公園はガイドブックではほとんど紹介されていなく、ツューリヒ観光の穴場ともいえます。いつ行っても人が少なく時間がゆっくり過ぎている感じ。

しかし音楽愛好家の方にとっては忘れられない場所でもあります。
特にリヒァルト・ヴァーグナーの音楽が好きだとおっしゃる方は是非訪れていただきたいのがこのヴィラ・ヴェーゼンドゥンクです。この場所で「トリスタンとイゾルデ」は書き始めました。彼は政治的な言動からドレスデンを追われ(逮捕状が出され)、ここツューリヒに逃れたことは有名な話です。
彼はベートーヴェン顔負けの引っ越し魔で、スイス滞在中、少なくとも10回は住居を変えたそうです。
主に彼がツューリヒに住んだ場所は大きくわけ2ヶ所で、以前にも紹介したことがあるクンストハウス近くのツェルトヴェークにある家、エッシャーハウスとこのヴィラ・ヴェーゼンドンクの家なのです。
ツェルトヴェーク通りの方、エッシャーハウスとは私が以前住んでいた所を通るシュタインヴィース通りとが交わる角のアパートで、今は個人の住居になっています。このアパートには“アルプスの少女ハイジ”の原作者ヨハンナ・シュピーリも住んでいたそうです。記念碑板がはめ込まれているのですぐ気が付きます。緑の多いこの辺りも、散歩にはとてもいいし、この道をヴァーグナーが楽譜を抱えて歩いていたのか、などと感慨に耽りながら歩くのも楽しいいものですよ。是非この近辺を歩いてみて下さい。
ツェルトヴェークへの入口には以前にも説明した、シャウシュピール劇場や楽器と楽譜の店“イェクリン”があります。

オットー・ヴェーゼンドンクは裕福な絹織物商人でヴァーグナーの有力なパトロンでもありました。
彼の若くて美しい妻マチルデもヴァーグナーの大ファンでした。超有名作曲家のパトロンになるということは、当時の金持ちにとっては何よりの名誉、ステータスだったのです。
当然の成り行きとしてオットー・ヴェーゼンドンクはヴァーグナーを自宅の邸宅に住まわせ作曲させたのです。

そこで何が起こったか?ご存知の方も多いと思いますが、これは次の章でお話しすることに致しましょう。