まだ五月だというのに夏のような暑さが続いてますね。

身体がまだ暑さに慣れていないせいか、私などこの気温には早くも参っております。

とは言っても音楽の活動は休む訳にはまいりません。

今日は、エチュードなどチェロの練習について何か有益となるものはないか、もう少し既成の教材を見直してみたいと思います。

 まず昔から使われてきた教材と言えばまず思い浮かぶのはウェルナーチェロ教則本でしょう。
これは皆さんご存知のように、内容的にも一貫性がなく、無味乾燥、課題も意味不明の部分が多すぎ、こんな本がいまだに売られていること自体が不思議です。

 ウェルナーに代わる教則本で何か良いものはないかと見渡した時、意外と使い物になるなと思うのはドッツアウアーのメトード本。

 ドッツアウアーのメトードと聞いて思いだすのは、「音楽の友」社で昔から売られているお馴染みの緑の本ですが、今回話題にするのはそれではなく、アメリカのインターナショナル・ミュージックカンパニー社から出版されている楽譜のことです。

この本で私が気に入っているのは全体が教師との二重奏で成り立っていること。これは正しい音程感を身に付ける上で重要なことです。
合奏することで生徒は音程のズレを体感することができるのです。

また四本の指を徹底的に並べさせることに重点が置かれていることも魅力的です。
同じような課題が沢山収録されているので、知らず知らずのうちにテクニックが身に付くように編集されているのです。

独学で勉強する方にも良いかも知れませんね。

このメトードの第一巻が終われば、セバスチャン・リーの作品70のエチュードに進めば良いでしょう。
このエチュードもファーストポジションだけで弾くことができます。
しかし、正確な左指の置き方を考えながら練習すると意外と難しく、色々なボウイングのバリエーションと併せてファーストポジションの基礎が磐石になるよう編集されています。

私のレッスンでは他のポジションもある程度弾けるようになった生徒にも、ファーストポジションの再確認の意味も込めてこのエチュードを練習させています。

これらの作品でとても良いと思うのは、まず、しっかり指を残しながら弾くこと(押さえた指を限界まで離さない)によって得られるチェロ本来の響きが体感できるようになるということです。
これらの作品がしっかり弾けるようになれば、次の段階として同じくセバスチャン・リーの作品31および131の「旋律的で前進的なエチュード」をやれば基本的なテクニックはバッチリ身に付きます。

これらの作品で得られたテクニックはどの時代の作品を演奏する上においても心強い味方になってくれるでしょう。

またチェロを弾く時に必用な精神的な安定ももたらしてくれます。