12月のリサイタルで弾こうと思って、現在バッハの無伴奏チェロ組曲第4番を練習しております。
この曲は他の5曲とともに昔から(プロになる前から)練習し続けている曲です。
こんなに長年に渡って弾き続けても飽きない曲ってこの曲くらいしかありませんね!例えばブロッホやレーガー、あるいはコダーイの無伴奏作品を毎日毎日何十年も弾き続けることなど考えられますか?すぐに飽きてくるでしょう。
バッハはそれが可能な唯一の曲だと言ってよいと思います。
 
なぜだかわかりますか?
バッハは作曲家するときに
演奏者のイマジネーションを入れる余地を残しておいてくれたからです。余白が多いとも言えるでしょうか。その音楽に対して音符の数が驚くほど少ないのです。
ですから、演奏者のレベルやその時の気分、体調にあわせてバッハが書いた音符がその都度答えてくれる。分からなければ分からないなりに答えてくれる。
バッハの音楽において、完成や仕上がりがないのはそのためです。ですから永遠に弾き続けることができるのでしょう。
 
組曲第4番に関して言うと、弾くのは6曲のなかで一番難しいと思います。
調性的にチェロではどうしても1や2指、さらに2と3指を広く開かなければならない場面がとても多く、自分のように指の短い者にとっては演奏がとても困難な曲でもあるのです。
しかし、その困難さを乗り越える方法はあります。
それは一度開いた指はなるべくこまめに閉じること。開きっぱなしはやはり疲れます。
閉じればまた開けばよいのですが、ポジションにおける各指の位置関係をしっかりと身につけておかなければならないのは言うまでもありません。
ボウイングに関して、アンナ・マクダレーナ写本は理解困難な部分が多いのですが、
私は、一度はバロック弓で弾いてみたりしております。それで簡単に問題が解決することもあるし、それでも分からなければ、色々な出版楽譜を参考にしたりしております。
 
とにかくバッハの作品群は
自分を写す鏡のような存在なのです。つまりバッハ自身も音符という道具を利用し、演奏者や聴衆という媒体を通じて成長し続けているのではないでしょうか?received_953453174828591