先週の西日本を中心とした豪雨には、ほんとに驚かされました。
皆さんの住んでおられる地方は無事でしたか?
一見、単なる突発的な自然災害と思われる最近の異常な豪雨、元をただせば、地球温暖化がもたらすものなのです。世界の限られた超大国が、害毒を大気に撒き散らかせているとは言え、良心ある個人がもっと意識を持ち地球を大切にしていかないと、今後、もっと酷いことが起こるはずです。

私の方は、12月にリサイタルを前にして、大曲を相手に大格闘を繰り広げております。いかんせん、相手が手強過ぎて、、
はっきり自分の敗けを認めて、もっぱら相手の強さを研究しております。よもや自分の物にしようなど、大それたことは言いません。

今回のリサイタルで最大のメインは、なんといってもバッハの無伴奏チェロ組曲第4番、6曲中いちばん好きな曲です。この曲は自然の美しさを感じさせると共に、畏怖の念すら感じさせます。
例えばプレリュード、この音楽は分かりやすく身近に自然の情景を感じさせてくれます。私など、この曲を弾くと、山道を散策しているような気分になるのです。
連続して上下する8分音符は山道を歩いている時の気分のようです。短い小節毎に変化する和音は木漏れ日であったり光線の変化であったり、、またそれがもたらす気分の変化でもあります。バッハにはこのような同音反復によって、気分の変化を表現している曲が実に多いですね。

やがて8分音符の歩みはフェルマータで中断されます。次に来る16分音符による短い即興的な走句は、突然吹き抜ける風。この部分より山の自然は急変します。突風が吹き付ける、しかし8分音符による歩みは覚束無くとも止まることはありません、、、

この音楽的手法は直接、ベートーベンの「田園交響曲」やシューベルトの「魔王」につながるものでしょう。

しかしバッハが単なる景色を表現したかったのではなく、ベートーベンが「田園交響曲」について言ったように、大自然がもたらす現象による気分の変化を表現したかったのだと思います。

バッハやベートーベンを弾くとき、いつも感じるのは大自然。
彼らが感じたように、私達も自然をもっと大切に思えるなら、この世の未来は明るいものとなるでしょう。