チェロを習い始めて第一ポジションにも十分慣れ、やっと他のポジションにも手を伸ばそうかという時期、そんな生徒に教材は何与えれば良いのか迷っている先生方は沢山おられることでしょう。ああ簡単だと思って弾いていても、急に高いポジションや複雑なリズムが出てきたりして、結局は使えないということなどざらにあります。そんな時はがっかりしますね。
そんな時、使いやすいのは難しい曲もあるとは言え、やはりバロックから古典の音楽が取り付きやすいのではないでしょうか。チェロの作品など無数にあります。
私はボアモルティエのソナタ集を使ったりしています。

楽譜はボアモルティエの9つの小さいソナタとシャコンヌというタイトルでショット社から出版されています。メック社からもショット社のものとは違った内容のソナタ集が出ています。

この曲集の特色は何と言っても音域が狭いということ。この曲が書かれた当時、第四より高いポジションは滅多に使われなかったのです。したがって、この曲集にも第四ポジションより高い音は出てきません。
次にリズムが比較的単純であるとうこと。
ヴィバルディのソナタのような複雑なリズムは一切出てきません。音域が狭くリズムが単純。それでいてとても美しくて楽しい。
そして分散和音がふんだんに用いられているからでしょうか、チェロがとても豊かに響きます。最後のシャコンヌは少し長いですが単純ななかにも緊迫感があってコンサートにも使えます。発表会には最適ではないでしょうか。
全編に渡ってトリルなどの装飾音がさりげなく出てきますが、優雅さに色を添えています。当時のフランス系の優雅な装飾法を体験するのにも良い教材となります。
この素晴らしい曲集、私は好んでレッスンに用いています。

続く