よく、林峰男先生がレッスンの時、おっしゃっていた言葉
を思い出します。それは、
 
「レッスンは本番だ」ということ。
 
それだけ、レッスンを受ける方も、教える方も真剣にならなければいけないということなのです。
 
林先生はまず、レッスンの前には必ず「指慣らし」の時間を、くださいました。時間で言えば10分程度でしょうか。その間、席を外してくださいます。
「突然、チェロなんて弾けるものじゃない!僕なら絶対無理だね。」と。
 
その場の響きにも慣れないといけないし、チェロを運んできた手には、リハーサルをかねて「指慣らし」が絶対に必要なのです。
指慣らし無しとは、リハーサル無しのぶっつけ本番でコンサートをやるようなもの。
 
私もレッスンの時、生徒にはできるだけ指慣らしの時間を与えるようにしています。
 
さて、林先生のレッスンが始まると、まず、練習してきたものを最初から終わりまで全て弾かされます。その間、先生は良くても悪くても、一切止めずに聴いてくださるのです。これは緊張しました。
一通り弾き終えると、ダメ出しが始まります。
これは私のレッスンでも実践していることで、作品の全体像を見極めるため本番と同様の緊張感を得るためにも有効な方法です。したがって、自然とレッスン時間は長くなります。
 
場合によっては、林先生
ご自身が作品を全曲通して弾いてくださることもあります。一度、レッスンの時、コダーイの無伴奏チェロソナタを第一楽章から第三楽章まで全曲通して私のために弾いてくだったことがありました。これは感動しました。身をもって示す、L・Mozartが言った言葉通りです。
 
バッハの無伴奏チェロ組曲やカサドの無伴奏チェロ組曲も全曲通して弾いてくださったことがあります。
 
レッスンとはコンサートの延長なのですね!
 
決してマニュアル通りではうまくいかないし片手間ではこなせない。いつも各生徒の個性、を考え、レッスンの流れを想像していなければならない。
 
大変な仕事なのです。
 
それが、林先生がいつもおっしゃる、「自分が弾きたいなら教えるな。教えるのなら教えることを最優先するべきだ!」
ということなのでしょう。
 
林峰男先生が私に授けてくださった最高の言葉です。
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