◎ 音楽家の生活にとって最も大切なことはなんでしょうか。
それは体調管理です。練習や研究、演奏することが大事だとか言っても最終的には体に頼るしかありません。
ことに音楽家は仕事柄極度な緊張や人との付き合いの複雑さによる極度なストレスを受けやすいものです。
生活のリズムも狂いがちになります。
好きなことをやっておいて何か文句あるのかと言われそうですが、一般的なサラリーマンから見ても同等、あるいはそれ以上の精神的な苦痛を受けている音楽家も多いかも知れません。

人には色々なストレスを受け流すことができる人と抱え込んでしまうタイプの人がいるようです。
かく言う私は完璧に後者なのです。
元々、何事でも間違ったことは許せず大きな理想を持つ傾向にあった私は自分に対しても厳しく生きてきました。
でも、そんな性格は疲れます。オーケストラなどの団体生活では上手くいくはずないですもんね。オケマンなど首席奏者以外は一兵卒に過ぎませんから…目立ち過ぎてはいけないのです。そこで待っているのはストレスの嵐です。
ストレスなど簡単に受け流すことができたらどんなに楽かといつも思っていました。
私の場合、そんなこともあって結局自然にフリーの道を歩まざるをえないことになったのですが、しかしフリーとは言え、やっていることは音楽です。ストレスは以前にも増して多く、生活のリズムは狂いがちになることには変わりがありません。
基本的に曜日感覚など全くありません。時には朝夕逆転の生活が続くことも。食事の時間も当然バラバラ。これが身体に良いはずがありません。
少なくとも今から7年前まではそんな生活を続けていました。
やはり歳とともに身体は確実に不調をきたすものです。
その後、そんな生活は良くないと一念発起した私は今までの活動を見直し、日常生活においてはまず早寝早起きの習慣を身につけたのです。それだけでも今までの体調とは全く違ったものになりました。食生活についてはそんなに健康的になったとは言えないまでも、身体は軽く、以前は時々ひいていた風邪もひかなくなりました。また自分で言うのもなんですがチェロも以前より格段に上手くなったような気がします。
これからも体調には気を使い、新たなる理想に向けて頑張りたいと思っております。

終わり

◎ 追伸

20歳代 私がまだオーケストラに勤めていた頃、腰を強打したことがあります。ホールの奈落から転落したのです。その時のレントゲン撮影の診断では異常がなかったのですがこの歳になって、ついにその影響が出だしたようです…。
詳しくは申し上げられませんが、演奏家の皆さん、くれぐれもホールの暗い所には近寄らないで下さいね。死にますよ!