広島赴任、“必然の結果”
皆さんも過去に大きなターニングポイントを経験されたという方、または今、正にターニングポイントになるかどうかの瀬戸際に立たされ、苦悩されている方も多いことと存じます。今回は私が経験した大きなターニングポイントについてお話しします。
私が大阪音楽大学の四年生の5月か6月頃でしたか、大学教務部に広島交響楽団のTuttiチェロ奏者一名の募集要綱が来ていました。
私が音大生の頃、我が家もそんなに裕福ではなかった事情もあり、まず大学を卒業すればすぐに就職することを条件に音大に行かせてくれた両親との約束もあって、どこかオーケストラに募集はないかと常々大学に来る求人情報を見ておりました。ちょうどその時期、大学には広島交響楽団と山形交響楽団の募集が来ておりました。しかし山形は大阪からは余りにも遠いし未知の土地で馴染みもないということもあり、ある先輩がその頃コントラバス奏者として広響に在席されていたこともあり、比較的大阪からも近い広島交響楽団のオーディションを受けることにしたのです。その時山形交響楽団に入っていたら今とは全く違った別の人生を歩んでいたことでしょう。人生とは不思議なものですね。ほんのちょっとした“きっかけ”で人生などがらっと変わってしまうのですから。またそこに人生の面白さがあるのです。いずれの道を選ぶのにしてもそれは自分の人生にとっては必要な事件。そしてその時自分では計り知れない何か大きな力、神(神=大自然の摂理、と私は勝手に理解しております)の力が行動を起こす者に働いてることを常に感じます。そういった意味で、自分に起こる事は必然であり何らかの意味があるはず。以上の意味から、これからも我が身に起こるあらゆることには不満をもらさず甘んじて受け入れようと思うことにしています。私は常に、あの時ああしていればよかった、こうしておけば良かった、などとは考えないようにしております。今の選択が常に最高、最高! 
という意味で、私が広響に入団したことも、必然の結果だったと思うのです。