広響の仕事

広島に引っ越し、最初の練習のため練習所であるNHK第二スタジオに出勤したのは四月二日のことでした。仕事の内容は広島国際フェスティバルの練習。
午後1時から練習が始まる予定なのですが、1時前になっても誰一人チェロ奏者は現れず。やがて練習は始まりました。後で事務局の方に聞くと、チェロの正団員は私一人だけ、とのこと。あの時はマジでずっこけました。
それから一週間ほど後、本番前日の練習になって初めて準団員やエキストラも参加しチェロもあと3名増えたのです。

当時の広響はメンバーも少なく、定期演奏会など大編成の時になると準団員を入れてもまだ人が足りないので、エキストラを広島県内外から呼び、それでも足りない時は東京や大阪で探し、時には音大生までかき集め一つのコンサートに仕立てる。この状況は当時、どこの地方オーケストラでも極普通の事でした。
その頃、広響の正団員は30名ほどでしたので、定期演奏会になると毎回エキストラ(普通オケでは、トラといいます)と準団員を入れて倍以上の人数になり、顔ぶれも毎回ちがうし、もう自分はどこのオーケストラで弾いているのか分からない状態。おまけにコンサートマスターも客演です。それで一回ごとのコンサートを何とか仕立てあげておりました。どの地方オーケストラ(地方オーケストラという言葉は好きではありませんが)も財政は大変厳しく正団員を一人増やすのも大変なことだから、これは仕方がないことなのです。地方オーケストラには言い方はまちまちですが、各オーケストラ正団員と準団員があり、正団員は毎月決まった額の給料が支給されるのに対して準団員は毎月出演した回数分のギャラを給料として支給されます。したがって準団員はオーケストラが忙しい時など正団員よりも遥かに給料が多いということもあるのです。その代わり、仕事がひまな月、給料は激減します。
一般企業の正社員と契約社員との関係のようなものでしょうか。