広響の仕事 続き

という事情で地方オーケストラにとって定期演奏会はとても莫大な費用がかかります。楽団の技術向上や楽団の宣伝のためやる意味も大きいのですが、経営側としてはやはり出来ることならばやらない方がいいと思うことでしょう。やればやるだけ赤字が増えるのですから。しかしそれでは活動が認められず公的な援助も受けることができす。更に苦しくなるのです。実際、八方塞がり的なオーケストラも過去にありました。
では、そこで何をすれば収入増に繋がるのか。

依頼の演奏会はもちろん大切ですが、主になるのはやはり移動音大教室。いわゆるオケマン達が言うところの“音教”です。格好よく言えばスクールコンサート。これは確実に需要があるし、少人数で出来ますから収入になります。そしてコンサートは昼間に終わってしまう。地方オーケストラは音教で食っているといっても過言ではありません。音教は少人数でも出来るので全体の移動も簡単です。
という訳で広響でも“音教”が多かったです。大抵朝の公演。時には午後も場所を変えて演奏する事も。そして夕方から一般のコンサートのための練習。結構忙しかったです。

地方オーケストラの苦労は群馬交響楽団を題材にした有名な映画 “ここに泉あり”に鮮明に描かれています。見られた方も多いと思います。
群馬響ではトラックの荷台に乗って学校から学校を巡回するというシーンが出てきますが、あそこまでいかずとも広響にもそれに近いものはありました。まさに“どさ回り”の日々。