其ノ四
出会い

才能を見出だすことはとても困難なことです。繰り返しになりますが、自分にはどんな才能があるかなど、自分ではなかなか分かるものではありません。自分では考えもしなかった分野に、優れた力を発揮することなどよくあるものです。“火事場の馬鹿力”など典型的な例ですね。ではなぜ気がつかないのか。才能を司る脳の機能を考えても当然のことでしょう。なにしろ人間の脳の機能は95%が使われず眠っているのですから。人は、僅か5パーセントの脳で生きているのですから、気がつかなくて当然です。
したがって自分では気が付かなかった才能や能力が、“他人によって気付かされる”、ということなど、ざらにあるということです。“出会いは大切です”。

人の脳のことなど未だ科学では解明されていないことがほとんどです。たとえば人がどんな人と巡り会うか、これも人が持つ不思議な才能の一つだと思います。自分がどんな人を引き付け、呼び寄せることができるか、これは素晴らしい能力であり、隠された才能としか呼べないのです。類は友を呼ぶ、とはよく言いますが、現在の自分にとって必要な人、最適な人と巡り会う、これはすべての人に与えられた才能です。ただそれは自分では才能とは気がつかないだけです。
何もしないのに(その人にとっては、何もしていないとしか思っていないにもかかわらず)自分にとって良い人が、次々に集まってくる、こんな人ってたまに見かけますよね。反面、どうしても最悪の人ばかり引き寄せてしまう、またはそれらの人に引き込まれる、という人もいます。これも自分の負となる個性が全面に出ているわけで、同じく負の力を持つ人を結び付けてしまう。つまり脳の負の回路がオープンになっている。これもある意味、自分が意識しない“負の才能”が表面に現れた結果かも知れません。
良い出会いのためには心のレンズを常に美しく磨いておきたいものですね。

つづく