昨年から今年にかけて私の方はコンサートやレッスンなどで時間をとられ、やむなくブログの掲載数が少なくなってしまいました。
新しいブログを心待にしてくださっている読者の方たちには申し訳なく思っています。
 
しかし今日は少し時間もありますので、日頃思うことなどを徒然に書いてみたいと思います。
 
さて、添付した写真をご覧ください。
 
これは、昔のウェルナーチェロ教則本の初めに掲載されてされていた写真です。
この本その物は私がチェロを始めた頃、実際に使ったものです。この写真、かなり古さを感じさせますね。
 
チェロを経験されたことがある方、この写真どう思います?
 
私がチェロを始めた当時、これをいつも何か変な写真だと思って眺めていました。どう考えても構えが不思議なのです。自分が教わった構えとは全く異なる。
 
まず、写真①を見ると、左手における拡張の構え、閉じた構えが同時に掲載されてはいますが、どれも指が突っ張り過ぎ、バイオリン奏者が無理やりチェロを弾かされたような感じになっているのです。拡張の構えは普通、人差し指と中指を全音に拡張させるのですが小指と薬指が異常に拡張しています。その結果、左手首が上がり過ぎてしまっているのです。
 
さらに、ハイポジションの構えとして掲載されている写真も、とても不思議です。
普通、ハイポジションの構えとして写真を載せるなら各指が弦上、または弦の上空に位置した写真を掲載するはずです。しかしこの写真、人差し指意外は指板から外れています。その人差し指すら、この形ではまともに高いポジションは弾けないでしょう。
ハイポジションで大切な親指も特に左の写真ではA線だけしか押さえられていません。普通はD線も同時に押さえます。例外もあるかもしれませんが、教則本に載せる写真としてはこの写真は論外です。
 
さらに、写真②の方を見て見ると、びっくりします。これは弓の構え方及び全体の構えですが、まず弓の構え方について、全ての指が突っ張ってしまっています。本には小指に注意と書かれていますが、これだけ突っ張れば手首は完全にロックがかかってしまい、柔軟なボウイングは全く望めないでしょう。同様に親指も突っ張り過ぎ。私の生徒には陥らないようにといつも注意していることをそのままやっています。
全体的な構えの写真も不思議です。弓は水平にと注意書には書かれているのですが、写真は全然水平ではない。
身体全体もかなり右に傾いています。上半身は少しのけ反っているようにもみえます。
 
写真はかなり古い物だとは言え、この写真は写真技術の黎明期の写真とは思えません。もっと新しい物だと思います。
時代から見ても、現代チェロテクニックは20世紀初頭にはカサルスなどにより確立されていたと思うのですが、どうしてこのような変わった弾き方の写真が存在するのか、未だに不思議に思います。
独学でチェロを勉強した人はさぞかしこの写真を見て悩んだことでしょう。
 
一体、チェロを弾いているこの人物はだれなのでしょう。
けっこう最近までこの写真が掲載されたウェルナーチェロ教則本が売られていたように思います。
 
因みに、現在のウェルナーチェロ教則本ではもっと普通に構えて弾いている人物の写真が掲載されています。
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