試行錯誤のレッスンを続けるうち月日が経ち、私は九州交響楽団に入団することになりました。
結果、その事は生徒にショックを与えることになってしまったのです。なぜなら、もうレッスンを受けることが出来なってしまうからです。
生徒の方も悩んだと思います。その生徒が出した答えは、広島から福岡にレッスンに通うというものでした。
生徒の方も考えが変わってゆき、音大を受験したいという方向に変わっていったのです。さあ大変!人を教える事も不慣れなうえに、音大受験生をあずかるだと?!
とにかく引き受けた以上、何とかしなければなりません。
その生徒は幸い、親類が福岡にあるということで福岡は馴染みのある場所でした。でも広島の田舎(相当な奥地です)から出て来るとなれば、大変な事です。我が家に泊まらせ、一度に二回分のレッスンをする訳です。私の妻は夜、楽典を教える。
私は生徒が出来るまでやるし、私自身も納得するまでやる訳です。レッスンは数時間に渡りました。
生徒もよく頑張ったと思います。
そのような時期が一年も続いたでしょうか。やがて、その生徒は音大受験に合格しました。その時、私は嬉しいというか、ほっとしたというのが実感です。私も受験の重苦しさから解放された訳ですから。