私が生徒を教える時はまず、練習してきた曲は練習曲でも何でも、最初から終わりまで全て弾かせます。
途中、問題があっても、立ち止まっても口は挟みません。
最初に止まらず弾させることによって、その時の生徒の練習程度が分かるし、理解度もわかります。また生徒の抱えているその曲に対する問題点も、最初に緊張して弾いた時に最も表れやすいのです。それを見逃してはなりません。
これは林峰男先生も常に言っておられる方法です。
教える方は、自分にたいして生徒はどうなのか、と尺度は常に自分に置きがちです。つまり自分本位になり、自分の趣味を押し付けてしまいやすい。したがって自分の考え方の変化で、またはその時の気分で言うことがころころと変わってしまうことは多いものです。しかし生徒は生徒なのです。気分でレッスンされれば生徒は戸惑うばかり。
考え方に変化はあって当然なのですが、いつも考え方に何か一本の筋道は通っていなければならず、常に視線は冷静に、公平な視線で見ていること。これは重要な事だと思います。