◎3 次の段階の教材

チェロにも慣れ、第四第五ポジションあたりまで無理なく弾けるようになった次の段階として、まずお勧めするのはクンマーの数多いデュエットによる作品群及びセバスチャン・リーの作品群です。これらはソロだけでなく室内楽やオーケストラなど合奏を目指す方にとって正にバイブルです。
もうひとつ加えるならオッフェンバッハのデュエットといったところでしょうか。
この三人全てオペラ座のチェリスト出身なんですよ。ですからメロディーがとにかく美しい。歌謡的なのです。
オッフェンバッハなど後になってオペラの大作曲家として有名になりました。

これらの曲は元々チェロのレッスン用として書かれ、いろいろな生徒の技術程度を考えて書かれているので初歩からかなり上級の生徒にも使用出来るようにできています。
初歩の段階から技術の習得は勿論、アインザッツの出し方、アウフタクトの合図の出し方、難しいフェルマータ後のブレスの取り方やアインザッツの出し方など室内楽の基礎を徹底して練習できますので、チェロを学ぶ者にとっては必須の曲集です。音大でも学生には難しいコンチェルトを弾かせる以前にこれらの合奏の基礎を叩きこむのが先決だと思うのですが教師の皆さん、どうお思いでしょうか?
ただクンマーやリーには高音域での親指のポジションを使用する曲は出てきませんので、他の曲も使用しなければなりません。そんな時、ブレヴァルやオッフェンバッハのチェロのための作品は役に立ちます。特にオッフェンバッハなど曲によっては超絶技巧的なとても難しい曲もあります。

この段階でのエチュードとしては、ポッパーのOp.76ー1の“易しいエチュード”が良いでしょう。
このエチュードもデュエットになっていてとても斬新で美しい響きがします。練習していて退屈することはありません。
ドッツァウアーのエチュードもテクニックを身につけるためにはとても有効的ですが、音楽的にはやや退屈な面もあり、やり通すには根気と努力が必要でしょう。
オッフェンバッハにも素晴らしいデュエットによるエチュードがあります。
なお、最も初歩の段階から私のレッスンでは音階(スケール)は必ず練習していただいてます。
最初は生徒の進度に合わせて私が書いて与えますが、かなり進んでくると既製の音階エチュードに切り替えます。エチュードによってもシステムの差がありますので、いろいろな物を使用します。例えば、古くからあるクレンゲル、フィヤール、ベッカーなど。

次に中級及び上級者の教材についてお話しします。

続く