◎4  中級及び上級の教材

さて、次はチェロの演奏にも十分慣れ、バロックや古典のソナタや協奏曲がある程度弾きこなせるようになった生徒を対象に考えてみます。
この時期(中級)としてまず私がお勧めするのは、オーケストラや弦楽四重奏、ピアノトリオ等で演奏することです。
出来ることならハイドンやモーツァルトを中心として演奏する室内管弦楽団がよいと思います。
彼らの作品はどのパートも最大の演奏効果が得られるように書かれてあり、なおかつ合奏を楽しみながら上達できる仕組みになっているのです。
特にハイドンはあくまでも演奏者中心、演奏者を楽しませることをまず第一に考え作曲していますので、しっかり取り組めば上手くならないはずがありません。
勿論、その効果を自分のものにするには音楽的に良心的な団体で演奏しないといけないということは言うまでもあるません。もしもそうでない場合は逆効果になってしまうでしょう。
私のレッスンでもオーケストラに参加している生徒には、チェロパートの難しい部分の指使いを一緒に考えたりして最大限協力はしております。
アマチュアに於けるオーケストラへの参加に対する効能や弊害については、また別の機会にお話ししたいと思っております。

この時期のレッスンに使うエチュードはドッツァウアーのエチュードが引き続き使用できます。このエチュードは上級まで一貫して使えるのが魅力でもあります。
その他のエチュードとしては、デュポール
21のエチュード、メルクOp.11のエチュードが音楽的にも優れています。
これらのエチュードは上級に渡って使うことができます。

中級になればバロックのコンチェルトやソナタのほとんどが弾けるでしょう。この時代の作品には装飾法等で厄介な決まり事がありますが、一曲ごとに文献を元に考えていけば何の問題もありません。またそれが楽しみであったりするのです。

バッハの無伴奏組曲も弾けるものから順次取り入れていきます。

またこのクラスになりますと、自分が今弾きたい曲を実際自分で楽譜を取り寄せ、弾いてみるということもやっております。

上級者ともなればどんな難しい物にも挑戦していく気迫が必要になるでしょう。
意欲的な生徒にはどんどん難しい曲を与えます。
エチュードとしてはなんといってもポッパーのハイスクールOp.73でしょう。これはショパンのピアノエチュードと同じくコンサートで弾くこともできますし、マスターすることでは一生の課題となるでしょう。
その他としてはピアッティのカプリースやフランコムのカプリースなどが良いと思います。グリュッツマッハーにも凄く難しいエチュードはありますが、難しさが全面に出過ぎていて、その音楽とは裏腹に報われるものが意外と少ないのではないか、と思ったりします。

そのほかソナタやコンチェルトはどんな大曲にも果敢に挑戦するよう指導していきます。(今現在、そんな高度な曲が弾ける生徒はいませんが…)

それではチェロを愛する皆さん、この暑さに負けず、エチュードを日に一曲、ソナタを一ページ…、チェロの上達を目指して頑張りましょう!

終わり