◎ どんな楽器を買えば良いのか、迷っている方は多いと思います。
まず端的に言えることは、自分の身の丈に合った物を選ぶということ。値段に惑わされない。
そして、丁寧に作られ正しく調整されている楽器。

これくらいしかありません。

時々、当教室にも楽器を買い揃えてから習いに来られる方がおられますが、大抵はネットで調べて買ったとか、大手の楽器店で買ったというのがほとんどです。
そのようなチェロを見てみますと大抵は調整が不行き届きで、弾くことすら困難、という楽器が多く見られます。調整が最悪というのは、特に駒の高さが合っていない場合に見られます。駒が調整されていない楽器は練習になりませんし、物は良いとしても使い物にはなりません。
最近生徒の楽器を目にしてびっくりしたのは、A線の高さが指板の端から弦までが1センチ以上ある楽器でした。これでは1stポジションですら演奏不可能です。おまけにその駒は裏表逆に立っておりました。
そのような楽器を見る度、なぜ、一度自分に相談してくれなかったのかと残念に思ってしまうのです。初心者にとっては弾き易さこそが最大のポイントです。この楽器は弾き込めばいつか良くなるのでは遅すぎるのです。

それからもうひとつ、何が何でもイタリア製だとか値段が高い楽器さえ持てば上手くなると勘違いしている人も困ったものです。
名器になればなるほど楽器の個性は強くなるもので、楽器自体が下手くそを寄せつけないプライドのようなものを持っているものです。楽器の鳴らし方を熟知していないと中々言うことを聞いてくれないのが普通です。まず自分の力量に合ったものを選ぶこと。
楽器によって教えられることがあるというのは、才能があり技を極めた人が言う台詞です。
またこのような楽器の買い方をする人は大抵、悪質な楽器屋の良いカモになります。
以前にも、わずか数十万円の価値しかない楽器を何と数百万円で売り付けられたという気の毒な話を聞いたことがあります。
これは実際ある楽器職人から聞いた話で、この楽器の持ち主は吹っかけられたという事実には全く気が付いていなかったということです。こうなれば自分が気に入って使っているでは済まされない問題で、れっきとした詐欺です。こんな話いくらでもあるのですからこの世界、びっくりです。さながらTV番組“何でも鑑定団”に出てくる話みたいですね!

以前紹介した楽器職人の山本正男さんの所にも、数年に一度くらいの割合で、ん百万の楽器を売ってくれだとか、この店で一番高い楽器を売ってくれと飛び込みで買いに来る客がいるそうです。そんな時山本さんは、そんな楽器の買い方をしてはいけませんよ騙されますよと、こんこんと諭して引き取ってもらうそうです。

以上のような事を参考にしていただき、最高の伴侶を見つけていただきたいものです。

終わり