其の三

そこで、生徒達には各自がただ演奏だけでなく、いろいろな雑用も含めて協力してもらい、自分達の発表会だという、共通の意識を持っていただくことが重要です。発表会に対するアイデアなど出していただければ参考になるでしょう。
これは私が理想とする二十名程度の少人数の発表会ならちょうど良いと思います。。協力できる人にはどんな些細なことでもいいので手伝ってもらいます。会場のセッティング、椅子並べなど、なんでも良いのです。出演者が協力し合って会を進行させます。他には、例えば写真の好きな人は記念の写真を撮る、デザインが好きな人は手書きのプログラムを作る、そういうのがあってもいいですね。きっと雰囲気が和むでしょう。親密感から、無用な緊張も避けられ、名演が生まれることもあると思います。進行が混乱してまとまりが無くなることもあるでしょう。でも、それも良い思い出として記憶に残るのです。

◎大人数の発表会

よくピアノやバイオリンが主体になっている音楽教室では生徒数が多いため、発表会を二三日に分けてやるケースがありますが、これもひとつの良い方法だと思います。
大人数を一日でやってしまうと、会場の費用など経費の面では生徒にかかる負担が軽くはなるでしょうが、混乱が多く(大抵は些細な原因から生じます)、それではもはや演奏会の体をなしません。
大分前になりますが、あるピアノ教室の発表会で、百名の演奏者の伴奏をするという仕事をした事があります。朝から晩まで連続して出演者が百名出てくるのです。会場は舞台を含めて大混雑。主催者は百人の出演記録が出たと喜んでいましたが、音楽は記録ではないのです。あれは伴奏する者にとってもまさに地獄でした。やはり演奏会として一日でやるならせいぜい20名から多くても30名程度でしょうね。それより多いようなら、演奏会としての雰囲気を保つため、日程は絶対分けるべきです。
また発表会だからと言って、出入り自由では困ります。一般の演奏会のように出入りは制限されるべきです。やればいいというような発表会は、そろそろ考え直したほうがいいですね。

また出演者が少な過ぎるのも良くありません。突然の欠席者が出たりしたら、とんでもないことになります。プログラムに室内楽などを入れた場合、休まれると他の出演者にも迷惑をかけてしまいます。とにかく少なくとも出演者は10人は必要でしょう。

次に、発表会には欠かせない問題があります。それはプログラムの問題です。ピアノ教室ならともかく、チェロ教室ではプログラムにはアンサンブルをたくさん取り入れるべきです。なぜならチェロという楽器はアンサンブルをやってこそ、チェロ本来の良さを味わうことが出来るからです。同じ楽器のアンサンブルのレパートリーとしてもチェロが最も数が多く、オリジナルの作品もたくさんあります。デュオ、トリオ、カルテット、またそれ以上の人数によるアンサンブル、レパートリーには事欠きません。演奏がうまくいった時の達成感は格別なものがあります。
こんな発表会を是非やりたいものです。

つづく