第3番のプレリュードやガヴォットも面白いですよ!
プレリュードは音型上、頻繁に左親指の使用が求められます。とても難しいですが退屈なエチュードを我慢して練習するよりも楽しく練習出来るので、遥かにテクニックが身につきます。
同じくバッハの無伴奏フルートのためのパルティータ、これも5度下げた楽譜が出ています。

テーレマンの“無伴奏バイオリンのための12のファンタジー”、これもチェロ版がメーゼラー社から楽譜が出ています。5番6番のポリフォニックな楽章は弾いていてほんとに楽しいものです。バッハの無伴奏チェロ組曲を練習し疲れた時など気分を変えたい時などには最適です。

バッハの作品は弾けば弾くほど自分から遠ざかり逃げていきます。これほど曲が自分の物にならない、言いかえれば自分の物にさせてくれない作曲家は他にいないのではないでしょうか。いつもエベレストのように我々の前に立ちはだかり、弾く度に挑戦者を突き落とし弾く度に必ず何か課題を挑戦者に突き付けてきます。しかし必ず何か新しい発見を弾く者に与えることは忘れません。
他人が書いた作品を自分の物のようにして弾くという思い上がった発想そのものが間違いだったのです。“自分の物は自分の物、他人の物も自分の物”という某大国のような考えは音楽には通用しません。人様の作品を弾かせていただくのです。常に謙虚に作品と向き合うこと。それを教えてくれたのはバッハ。謙虚になった時のみ彼は私達にプレゼントをくれます。それも“小出し”に。
弾く度、私はバッハの霊魂(霊魂=意識、またはバッハの意志の力)を強く感じるのです。