◎其ノ四
床、ストッパー(エンドピンレスト)

ホールによっては舞台の床が柔らかかったり、とても硬いということがあります。
硬い床の場合、エンドピンの先が丸く擦り減っていたりすると、滑ってしまって気が散り良い演奏にはなりません。また滑った拍子に楽器を傷つけてしまうことにもなりかねません。

柔らかい木で出来た床の場合、擦り減ったエンドピンを床に刺すと鋭く尖った物に比べて、床に大きな穴を開けてしまう可能性がありますので特に気をつける必要があります。
やはりストッパーを使うのが最善の策でしょう。チェロ奏者は常に持ち歩く必要があります。硬い床に直接エンドピンを刺して演奏すると引き締まった良い音がするとおっしゃる方もおられますが、それは気持ちの問題で、固い床だと強いウルフトーンが出る事もあります。床とエンドピンの間にワンクッションがあった方が、かえって柔らかい良い音がする場合もあります。

ストッパーは市販もされています。ビニールで出来た黒くて小さな“ブラックホール”という製品が良く止まり皆さん使っておられますが、ザラザラした床や凸凹した床では効果があまりありません。そしてステージに置き忘れたりして非常に無くしやすいものです。無くしやすいのなら自作するのが良いでしょう。小さな木板の裏にゴム(百均で売っているカーペット用の滑り止めが良いです)や“紙やすり”を滑り止めとして張り付け、紐をつけて椅子の脚に装着するようにすれば高性能なストッパーが簡単に自作できます。
チェリストは一歩表に出ると、どんな所で弾かされるかわからないものです。チェリストにとって必需品であるとともに、床を傷つけてしまわないためのマナーでもあるのです。昔、床に穴を空けるため五寸釘を持ち歩くチェリストを見たことがありますが、これなどモラルの欠如も甚だしく、最悪です。
終り