◎ 差し迫って発表する予定などないのですが、自分のチェロが醸し出す音が面白いので 最近、昔練習したレーガーやコダーイの無伴奏チェロ作品を再び練習しています。
昔、ローザンヌで林峰男先生のレッスンを受けていた頃、これらの作品もレッスンはしていただいたのですが、その頃は私も若く、まだ曲の良さなど全然理解できていませんでした。表面的な迫力ばかり追い求めていたような気がします。
しかし、この歳になって初めて、ここはこうだったのかと理解できることはとても多く、無駄には歳をとらなかったと自分を納得させています。
しかし、これらの曲、いつ弾いても難曲であることには変わりなく、はたして人に聴かせられることができるかが私の今後の課題なのです。

特にコダーイの無伴奏チェロソナタは面白いですね!とにかく練習していて楽しい。色々な可能性が次々と思い浮かぶのです。これ一曲でひとつの宇宙を形成していますよね。バッハの無伴奏以来の傑作だと言われる理由、納得できます。
昔、林先生はレッスンの時にコダーイの全曲を私のために通して弾いて下さったことがあります。普通、教師がレッスンでコダーイを通して弾くなど考えられませんよ!
その時の強烈な印象は今でも忘れることはできません。

先生は何事も全力投球なのです。
その頃、先生がいつも言っておられた、「教師たるもの、いつも全身全霊で生徒に相対すべきだ!決して片手間で教えてはいけない!」という言葉がその後、私の心の糧となり今があるのです。

フィンガリングもこと細かく教えていただきましたが、その時の書き込みがある楽譜は今でも大切に持っています。今見返しても、その合理的なフィンガリングやボウイングは新鮮な感動となります。
林峰男先生が演奏するこの曲を聴くと無伴奏チェロのイメージが変わりますよ!CDでも聴くことができますので、是非皆さんお聴きください。

素晴らしい曲なのですが、とにかく長く、楽譜にして二十数ページもあります。暗譜が苦手な私としては頭痛の種。
ただ、出てくるフレーズのキャラクターがとても明快なので、理解が困難なボウイングの連続であるバッハの無伴奏組曲に比べると暗譜するのは楽かも知れません。
とにかく曲が長いので私が弾けばどうしても息切れがして、曲の長さだけが強調されてしまうのです。早く言えば退屈だということ。

林先生のあの精神力の凄さはただ者ではありませんね!聴き手を絶対飽きさせません。

5年前に先生の無伴奏リサイタルでコダーイを聴いたのですが、その精神力の凄さは健在でした。

終わり