IMG_20171129_125217_273KIMG0588IMG_20171129_123725拝啓、当教室のブログを御覧いただいている皆様、いつもご拝読ありがとうございます!
今日も頑張ってブログをお届け致します。
 
 
さて、いつも申し上げることですが、音程を正しく取るための最初の段階はオクターブ(8度)や同じ音(音律面から考える厳密な意味での1度ではない)を正確に取ることです。このふたつの音を聴く力を養わない限り、その他のたとえば完全5度や4度、次に6度や3度、難しい2度や半音の音程を取ることなどほぼ不可能に近いことでしょう。なぜなら同音とオクターブだけが絶対だからなのです。それ以外の音程はすべて相対的、つまり他の音の高さによってどのようにでも変化していくからです。
 
今日も先日書いた同テーマのブログに関連することです。
 
私の教室にも時々、オクターブのズレや同音のズレの度合いがまったく判別できない方が習いに来られます。つまりどちらの音が高いのか低いのかがわからない。あるいは、そもそもズレていることすらわからない。たまに半音くらい違ってもその差がわからない方もおられます。教える方は苦労させられます。
 
その中でも特に聴き取れない度合いが酷い生徒には最近ある方法を試みています。
それは音高の少しずつ異なる二本の音叉の音を同時に聴かせるという方法です。ご存知のように音叉の音は楽器の音のように雑音を多く含むことによる複雑な音ではなく単純な音ですから、音の違いがはるかに聴き取りやすいのです。
これを一本ずつ両耳で聴かせるのです。高さの異なる違う音叉を耳を変えて聴かせたりします。
 
今現在、ある生徒(この生徒は半音の半分、つまり四分の1音程度の音のズレがまったく判別できません)にはAの音が430ヘルツと440ヘルツの音叉を同時に聴いていただいてます。これを家でいつも聴かせるようにしていますが、当然ですが現在まだ全然その違いがわかりません。どちらが高いか低いかもわからない状態です。
今まで自分で音を紡ぎだすという習慣とは無縁の生活をしてきたのだから、まあ仕方がないとは言えるのですが、せっかくチェロを始めたのですから上手くなっていただかないと、月謝をいただいている以上こちらが困ります。
 
この生徒の将来に対する理想としては、二つの音叉が同時に発する唸りが聴こえれば良いのですが、、、、これが聴こえればしめたもの。
 
ここで私が求める大切なこと、実は音を耳を澄ませて聴くということなのです。
 
この生徒は普段から音楽だけでなく物音を耳を澄ませて聴くという習慣がなかったのかもしれません。あるいは人の話も適当に聞く、物事を早合点するというせっかちな性格なのかもしれません。とにかく今は「聴く」という習慣を身につけさせるのが先決です。
 
今回のテーマで私が言いたいのは、耳を澄まして聴くこと。これが楽器演奏(もちろん歌もそうです)には絶対不可欠だということです。ここでは唸りまで聴こえることが大切なのです。
音程に関して教える方としては自分の音もそれ以外の音もとにかく意識を集中させ「耳を澄ませて聴きなさい」、究極これしか言うことがないのです。音律計算のように数字で音楽は演奏できません。音律計算などあくまでも後付けの理屈です。
いずれにしても自分の音だけでなく物音を耳を澄まして聴く、という習慣を持たせることが上達のまず第一歩だと思います。
 
この先、この生徒がその差を少しでも判別できるようになれば、できるだけ接近した音高に順次変えていく予定です。たとえば、A=440と443とか442とか。それができれば、あとは実際に教師がチェロで正確にオクターブや同音を取り、それを指をずらせて濁った音にしていき、その差を生徒に聴き取らせる、あるいは反対に濁った音から正確に合った音高に合わせていき、雲が切れ光が差し晴れたようなあの感覚を感じ取らせる。
または教師が示す同じ高さの音高を生徒に自ら取らせること。
 
以上、これくらいしか現在、「ある程度」正しく音程を取る耳を鍛える方法は他には見つかりません。
 
何度も言います。そのためにはまず耳を澄ませて聴く習慣を持つべきです。
 
先日紹介した指板にテープなどで印をつける方法も併用しますが、あくまでも楽器上に左腕を安定して置くための補助的な役割でしかないということは言うまでもありません。
 
音楽をされている方々、私達は聴覚においても慣れで弾いてしまっていることがあるのではないでしょうか。ただなんとなく聴いている。あるいは惰性で弾いてしまっている。
 
耳を澄ませる、という習慣をもう一度見直してみませんか?
立派に弾ける方もこの習慣によってさらに違った世界が見えてくるかもしれませんよ!
 
蛇足ですが、もしかして加齢による難聴もある程度防ぐことができるかもしれません。