◎ 想像力の欠如

先日、街を歩いていると変な物に出くわしました。

それは、とある商業ビルのロビーでの出来事です。
吹き抜けの広くて天井の高いそのビルのロビーでは弦楽四重奏を演奏していました。
若い女性が集まったそのカルテット、何やらクリスマスメドレーらしきものをやっているのです。
どうやら曲は赤鼻のトナカイ、ジングルベルなどのようです。
そうか、もうそんな季節なんですね!

などのようです、というのは、この会場、床や壁は石とガラス張り。凄まじく響きます。大浴場状態!
響きすぎて何をやっているのかさっぱり判らない。
その響きに対してどれもテンポが早過ぎて、音が混ざってしまい更にわかり難さを助長してしまっているのです。主催者側としては曲のテンポを上げ、購買欲を煽ろうという魂胆でしょうか。
しかし聞かされる方はたまったものではありません。

まずこの演奏する人達は会場の響きとテンポとは密接に関係しているということに気がつかないのでしょうか?
響き過ぎる場合、テンポは自然と遅くなり、響かない時はその反対になるはずなのですが…?
音量もそうです。
響く所では自然と力が抜け、抑えられるはずです。また、そうしないといけません。とにかくこの奏者達は力任せに弾いている。
音が混ざってしまって何がなんやらさっぱり分からない。おまけにP・A(マイク)まで入れる始末。響く所でがなりたててどうするの?
醜悪の極致。音の公害以外の何物でもありません。

この人達は多分、自分達音がどう聞こえているか、どのような効果を周りに及ぼしているかなど全く想像できていないのでしょう。
又は、言われた通りでしか弾けない。普段の練習で決めたテンポでしか演奏できないのかも知れません。
全く想像力の欠如です。これは演奏する方も、させる方にも問題があります。
いくら早いテンポの曲を弾けと言われたとしても、その場に応じた速さや音量で弾けるという音楽家として最低のプライドくらいは持って弾いていただきたいと思います。
まあ、そんな発想力も持ち合わせていないのかも知れませんね。

しかしながら昔からあるこのような演奏は商売臭プンプンですね。私個人としては、最近音楽がファッション化されすぎて嫌な感じを受けるのですが、皆さんどう思いますか?

ところで、最近のアミューズメント施設などでは、口パクならず、何と言ったら良いのか、弾きパク?の演奏の仕事が横行しているそうですね!(最近とあるバイオリンが全く弾けないチェロ奏者が口パクならず…弾きパク?の仕事でバイオリンを弾いてきたという驚くべき話を実際に聞いたことがあります。つまり音に合わせて適当に弾く真似をするのだそうです!ついにここまで来たかという感じ。)とにかく若くてカワイイ子が弾いていたら何でも良し。この風潮、これはいけませんな!
話が脱線してしまいました。
しかし、商売へのあくなき想像力だけはよく働くものですね!

終わり