◎ 皆さん、眼は健康ですか?
音楽をする人にとって眼は耳と同じくらい大切なものです。
ロドリーゴなど盲目でありながらもたくさんの名曲を世に残した天才もいることはいますが、そんなものは例外中の例外。我々のような凡人は少し老眼が進んだだけで即演奏にも差し障りが出てきます。

私は子供の頃から視力は良かったのですが、四十歳を過ぎる頃から急に老眼を意識するようになりました。
急に楽譜が見え難くなってきたのです。
特にオーケストラなどのように二人で一つの楽譜を見る時などほんとに苦痛でした。
そんななか、今から7、8年ほど前でしょうか、偶然物を片目で見ることがありました。
電車の座席に座りなにげに真っすぐ立っているはずの手すりを左目を閉じ右目だけで見た時、びっくりしました。なんと手すりが途中で竹を斜めに切ったように切れてズレているのです。
それが両目だと全然わかりません。
これは慌てました。

早速、近所の眼科に駆け込んだのは言うまでもありません。
しかし、その医師は、眼底出血をしているくらいとしか答えず、どうも診断が曖昧なのです。わからないのかも知れません。
出血を止める薬を処方するくらいで治療らしい治療をしません。症状は段々と進み、次第に物が大きく歪んで見えるようになってきました!それを医師に相談すると、なんとその医師は眼球に注射をしだしたではありませんか。これはいよいよおかしい!と掛かり付けの内科で大きな病院の眼科に紹介状を書いてもらったのです。

その大病院で検査した結果は“黄斑上膜”でした。かなり進行しているらしく、手術が必要だとのこと。早速入院することになりました。

この黄斑上膜とは、何らかの原因で眼底にある黄斑の上に膜が張るという病気です。
黄斑とは眼底にある網膜の中心にあり視細胞が最も多く集まっている所で、人はそこで物を見ています。そこに膜が張り網膜を引っ張るものですから物が歪んで見えたり切れて見えたりするのです。

手術は入院後二三日してから行われました。局部麻酔で行われるので全ての様子がまる見えなのです。頭部が固定され眼球の中で鉗子が暴れ回り目の中が掻き回され…さながら台風の空を見ているような感じ。
あんなに痛くて怖い経験は初めてでした。二度と御免です。

結局二週間入院しましたが、その後はどうなったかと申し上げますと、さすがに進行は止まってはいるものの、やはり元通りの元気な時の状態とは程遠く、健康な左目とのバランスが悪い状態は続いています。失明しなかったのが幸いと思うべきでしょう。

皆さん、眼は大切に!

終わり