其ノ三

私がまだ小学校低学年だった頃まで、片町線は片町ー放出間だけが複線区間で長尾までは単線でした。長尾から木津の間は非電化区間で、SLが走っていました。
放出駅は城東貨物線の放出駅も併設していましたのでSLも常に停車していました。子供にも大人気で、機関士も快くSLの運転席に子供達を入れてくれていたそうです。私の姉も子供の頃、停車中のSL機関士に“なあ、おっちゃん、乗せてぇなあ!”(多分そう言ったのだと思います)と言うと、そのSL機関士も快く姉を運転席に乗せ、隣の鴫野駅まで行き再び帰ってきてくれた、と言ってます。今では考えられません。のどかな時代ですね!

さてと、今日は片町線を西方面、つまり神戸方面に乗ってみましょう。
今の車両は静かで快適ですね!

電車はやがて鴫野駅に到着します。
この区間の沿線もマンションが増えたとは言え、左側に見える天王田あたりではまだ昔の町並が残っています。散歩するのにはいいですよ。
この辺には細い川もありましたが今ではすべて埋め立てられてしまいました。昔の大阪はほんとに川が多く、かなりの数が埋め立てられました。しかし地形的に川の面影は残っている所を大阪で見ているので、たまに他の土地へ行ったりした時など、ひょっとしてここは昔は川だったのでは、と思う道に気が付いたりすることがあります。

この鴫野駅は、数年前に部分開業した大阪東線の新大阪駅へ向かう分岐点でもあり、八尾市の久宝寺から放出間は開通していますが放出から新大阪間は現在工事中です。
全線開通はまだ三年ほど先ですが、開通すれば放出から新大阪及び東海道線へのアクセスが便利になり、今から楽しみにしています。
電車は間もなく京橋駅に到着します。京橋から先は東海道線の尼崎駅まで、東西線に入ります。この線は10年程前に開業したとても新しい線です。この線が出来たおかげで放出から神戸、宝塚方面へのアクセスはほんとに良くなりました。それまで神戸方面へは京橋で環状線に乗り換えて大阪駅経由で行っていたのですから、その便利さは隔世の感があります。
計画そのものは数十年前からあり、子供の頃から噂は聞いていました。でも大阪のど真ん中のどこに線路を通すのか、さっぱり見当がつきません。それがあちこちの道路で工事が始まった時、この地下に将来電車が走ると聞き、初めてその謎が解けました。

つづく