◎3 アマオケの弊害
昨今において、アマチュアオケの演奏する曲には目を見張るものがあります。
ベートーヴェンやブラームス、チャイコフスキーなどは普通のポピュラークラシックで、ブルックナーやマーラーさらにはヴァーグナーやR・シュトラウス、フランス物にまで果敢に挑戦すようになりました。プログラムを見る限りプロオケのそれとは何の差もありません。どこのプロオケのコンサートかと見紛うばかりです。
オーケストラ曲のパート譜を演奏するのはとても難しいということ。特に、ベートーヴェン以降の作曲家の作品は考え方によれば、ソナタやコンチェルトを弾くよりも遥かに難しいということが有り得るのです。譜面そのものも演奏困難な上、更に皆と合わさなければならないのですから、その難しさには凄まじいものがあります。
その難しさの中、しっかりとした演奏の基礎が無いまま演奏すればどんなことになるのでしょうか?皆と逸れないように付いていくだけで精一杯、指使いも出鱈目、ボウイングも無茶苦茶ということになるのは当然のことです。誤魔化して弾くというという行動が当たり前のようになってしまいます。皆で弾けば怖くない、とでもいいたげで見ているこちらが怖くなります。
弾けてもいないのに弾けた積もりになっている、これは恐ろしいことです。
以前からオーケストラをやっている生徒を何人も教えてきましたが、レッスンで基礎をいくらしっかり教え、良い弾き方が身についたと思っても、オーケストラで演奏する度、悪い癖を身につけに戻ってくるということがほとんどでした。教える方としては大変不甲斐のないことです。良い弾き方を身につけるのは難しく、悪い習慣に染まるのは一瞬です。
続く
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