240319いばらきバレエへの誘いちらし_ページ_表240319いばらきバレエへの誘いちらし_ページ_裏楽譜image2

今年の6月8日と9日、茨木クリエイントセンター・センターホールにて、バレエ「白鳥の湖」を上演いたします。

音楽はもちろんP.チャイコフスキー。オリジナルは大オーケストラのために作曲された作品です。
今回の上演は弦楽四重奏で演奏いたします。
弦楽四重奏への編曲は私が行いました。
昨年の11月から編曲の作業を始め、今年1月中旬に総譜の完成、それから弦楽器各パートの写譜及びそれをコピーして製本、各奏者に楽譜を渡したのは2月末ですので約5カ月の仕事となりました。

私自身オーケストラの団員としてこの作品を演奏したことは過去に幾度となくありました。また世間では、録音上演もよく行われています。
しかし、弦楽四重奏での演奏は私の長い音楽生活のなかでも初めての経験となります。
元々オーケストラの作品は弦楽器が主体となります。ですから、弦楽四重奏での演奏はそんなに違和感なく耳に届くはずです。
しかし、編曲を始めてみるとこの作品、管楽器が大活躍する場面が多く、例えばイントロダクションの出だしはオーボエで始まり、オーボエがこの作品の重要な鍵を占めます。それが今回苦労することのひとつでした。
そこを今回、弦楽器だけでどう表現するか。
悩みに悩んだ末、イントロダクションでは普通第一バイオリンにオーボエのメロディを与えたくなるところですが、今回は第二バイオリンにそのメロディを持ってきました。ヴィオラやチェロでは異質な感じになりますから。それで、第二バイオリンにメロディを弾かせることにより、少し燻んだ効果が得られるはずです。
ハープの扱いなど、そのような工夫があちこちに試みられております。
あと問題は、弦楽四重奏でオーケストラの大迫力に迫ることができるか。これは限界があり、力んで演奏してしまうと音楽を殺しかねない結果となります。
特に第四幕フィナーレの部分では、ヴィオラとチェロに分散和音を沢山与えて音の広がりを持たせました。これである程度、弦楽四重奏なりの迫力が得られるはずです。
そのあたりを注意して聴いていただけると、楽しめるのではないかと思います。

他には、この作品、初演された当時は不評で何度も改定された結果、いろんなバージョンがあり、今回上演する版は私の所有するカルマス版の楽譜とは大分異なっていて、そもそもその版には存在しない曲もあったりで、最終手段としてカルマス版と大幅に異なる曲は耳コピで楽譜をでっち上げたり、全く無いものを私の妻が所有する資料から偶然に調達することで胸を撫でおろしたりで、苦労の連続でした。
今月中にクリエイトセンターで初の音出しをしますが、思った効果が出るか、苦労がどう結実するか、今からハラハラしてます。