ヴァイオリンやヴィオラと非常に外観が似ていますが、大きさとしては130cm程もあるかなり大きな楽器です。弦の数は4本で、音が低い方から順にド・ソ・レ・ラでギターのようなフレットは有りません。音域が低いため、ヘ音記号で表された楽譜を用います。

ヴァイオリンやヴィオラ程ではありませんが、ト音記号やハ音記号の領域の高さの音も出すことが可能です。弦の両端には糸巻きのような機構があり、弦を張る強さを変えて調弦(チューニング)を行います。包み込まれるような豊富な音色や広い音域で身体全体を使って演奏することで多彩な表現ができますし、その艶やかな低音は魅力的で、アンサンブルやオーケストラだけでなく、ソロ楽器としての歴史的な傑作も数多く存在します。

C線(第四弦)のビロードのような感触からA線(第一弦)の鼻にかかった甘美な声音まで、チェロの表現力はすばらしく広い。

昔はセロと呼んでいましたが、今はほとんどチェロと呼ばれていますがヴィオロンチェロが本名です。各部の寸法はほぼヴァイオリンの二倍で、胴体の厚みだけは四倍です。

チェロの歴史

ヴァイオリンとともに1520年ごろに出現し、現存する最古の楽器はアンドレア・アマテイの1560年作。しかし、ヴァイオリンにくらべ独奏楽器に昇進するのがとても遅れました。それは、当時繁栄していたヴィオル(ヴァイオ)族一家のうち、高音のヴィオルはまもなくヴァイオリンに相続権をゆずったのに対し、チェロと競合する低音のヴィオラ・ダ・ガンバ(脛のヴァイオ)は性能もよく、名手も多く、いつまでもソロ楽器の地位を確保していたからと言われています。

1689年にやっとドメニコ・ガブリエリがソロの曲を作曲し、三十年後のバッハの無伴奏組曲でヴァイオリンと同列に立ったかに見えましたが、モーツァルトは一つのソナタさえ書かなかったそうです。

19世紀に入って、指板の上に親指を置いて高いポジションをひくことや、楽器に足をつけてひく(それまでは脛にはさんでいた)ようになり、今世紀に入りカザルスのような名手が出てようやく本格的な独奏楽器となりました。
チェロは、同じくヴァイオリン属の楽器であるヴァイオリンやヴィオラとほぼ同じ構造でです。ただし、低い音を出すために形全体が大きく、特に厚みが増しているのが特徴です。

調弦(チューニング)
チェロの練習をする前には必ず調弦・チューニングを行います。
楽器をしばらく置いた状態が続きますと、弦が緩んだり、逆にきつくなったりして、音色が変わってしまう事があります。その為に練習する時は調弦を行います。
調弦は上級者と初心者では大きく違います。

上級者の調弦
例えばオーケストラの場合、Aの音をオーボエから取り、第1弦が中央ハ音のすぐ下のイ音(A3)であり、以下完全5度ごとに、ニ(D3)、ト(G2)、ハ(C2)となり

開放弦の和音の響きで合わせて自分の耳を便りに調弦していく方法です。しかしこれは、音感があって、音を聴く事に慣れていないとできない技です。

弦の呼び名を番号でなく「C線」「C弦」(慣習的に「ツェーせん」「ツェーげん」とドイツ語読みする)などと音名で呼ぶこともあります。
第4弦のハ音は中央ハ音の2オクターブ下の音になります。この調弦はヴァイオリンより1オクターブと完全5度低く、ヴィオラより1オクターブ低くなります。

初心者の調弦
電子チューナーを使うのが一般的です。
チューナーに音を吹きこませ、音の高低を判断させます。それに従い、チューニングしていく方法です。誰にでも正確にチューニングができるので、便利です。
色々な音律でチューニングができるので私としては”KORG”の”OT-120″がおすすめです。

調弦の前にする事
調弦をする前はアジャスターにゆとりが持たせます。アジャスターがきつくいっぱいになっていると微調節が出来なくなります。

次に、ペグを使って大まかに音を合わせます。弦の順番としては、高い方からA→D→G→Cで合わせていきます。
一定の音を出してチューナーに判断させます。音が高ければペグを緩め、音が低ければペグを締めます。
ペグは一気に巻くのではなく、徐々に締めていくようにしましょう。全体的に、少し低めに合わせておくといいです。

最後にアジャスターで微妙な高低を合わせます。先ほどと同じ要領で、音が高ければアジャスターを締め、音が低ければアジャスター を緩めます。

調弦の順番

・基本的に調弦は、弦1本ずつ弓で弾いて調弦します。
・チューナーの指針が真ん中を指し、緑色に光れば調弦が出来ています。
・高い方から、A線(ラ)→ D線(レ)→ G線(ソ)→ C線(ド)の順位に調節します。

tuning

Violoncello(チェロ) 音域:C2-G4
チェロの発音できる音域は、3オクターブ前後(C2-G4)です。駒寄りの弦を押さえることにより5オクターブまで発音することは出来ますが、それで曲を演奏することは技術を要します。一方ハーモニクスという手法を用いて、さらに数オクターブまで高い音を出すことも可能である。これはチェロが縦に構えられて演奏され駒近くの弦を押さえるのが、ヴァイオリンなどと比較して容易なことに起因します。このためチェロは非常に広い音域を表現することが出来、単一の楽器だけでアンサンブルを組むことを可能としています。

range
低音域と中音域では暖かい豊かな充実した音色がします。高音域では緊張した感じがしますが、鼻につくような音はしません。
チェロのダブル・ストップ、トリプル・ストップ、クオドール・ストップやアルペジオ、ピチカートでも、太い弦による共鳴で非常によく響き、効果的です。その場合、ヴァイオリン同様できるだけ開放弦を使い、最大限の響きを得るため、3音、4音の和音は開離位置にするのがよいでしょう。

記譜法
チェロのための楽譜は、基本的にはヘ音記号で書かれるが、高音域になるときにはテノール記号(ハ音記号)も使われる。ト音記号も稀に使われるが、時代によって意味が異なるので要注意である。主に19 世紀にはト音記号は声楽のテノールと同じようにオクターブ下げて読むのが普通であった。テノール記号が併用される現代では、ト音記号も実音で記譜する。

演奏法

演奏法については、楽器の構え方が大きく異なっていたりポジションのシステムが異なっていたりはするが、ヴァイオリンと共通する部分が多い。
以下に、ヴァイオリンの奏法と大きく異なる点を列挙する。

楽器は、胴を左右の脚の間に置き、棹(ネック)が奏者から見て顔の左側にくるように構える。楽器がずれないようにエンドピンの先を床に固定する。
運指は、低ポジション(指板の上の方を用いる)では人差し指・中指・薬指・小指を用い、各指で押さえる音程の間隔は半音を基本とする(人差し指と中指の間は全音とすることもあり「拡張」と呼ばれる)。この関係上、音階などの運指においてヴァイオリンよりも頻繁に開放弦が用いられる傾向にある。またヴァイオリンと比べて頻繁なポジション移動が必要になる。概ね第7ポジションを境として以降の高ポジション(指板の下部を用いる)では親指も指板上に乗せて弦を押さえる(親指のポジション)。
親指のポジションでは親指を含む各指の間の音程はヴァイオリンと同様に全音・半音の双方を取る(ただし小指は余り用いられない)。この場合には親指を用いない低ポジション時と違い頻繁なポジション移動が不要になるため、分散和音などの急速なパッセージでは低ポジションでも敢えて親指のポジションが用いられることがある。また、この奏法のお蔭でチェロの実効的音域はヴァイオリンのそれよりも概ね5度ほど広くなる。
重音は、ヴァイオリンほど頻繁には用いられず、また多くの制限を受ける(たとえば開放弦を用いないオクターブ重音は低ポジションでは不可能である)。これは特に低ポジション時に各指が半音間隔で音を取らなければならないためである。従って、重音を高度に用いるパッセージでは親指のポジションの高度に技巧的な活用が要求されることが多い。
運指だけではなく運弓も、一般にヴァイオリンよりも大きい動きを要求されることが多い。単純に楽器の大きさからくる違いもあるが、ヴァイオリンよりも遥かに太く張力の強い弦を振動させるために弓は大きく使われる傾向にあるし、運指の関係上たとえばオクターブ跳躍の際の移弦は隣接する弦ではなく2つ隣の弦になる。他方で、一般にチェロの弓の長さはヴァイオリンの弓のそれよりも「短い」ので、これらの問題が増幅される傾向にある。
構え方の違いから、ヴァイオリンでは高音弦が弓を持つ手元に近くなるが、チェロでは逆に低音弦が手元に近くなる。従って、たとえば重音奏法の場合には右腕の動きはヴァイオリンとチェロでは逆になる。
調弦は、低音域で5度の和音の響きを聴き取り、ペグによって調弦をする。しかし、楽器の構造上、弦の張力が強く、またそのためにスチール弦が用いられることも相まって、ペグによる微調整が難しいため、すべての弦にアジャスターが組み込まれたテールピースが採用されることが多い。他方、ヴァイオリンやヴィオラは隣り合う弦の重音で調弦し、また柔らかく調弦しやすい金属巻きガット弦を用いる奏者が多いので、アジャスターをすべての弦に取り付ける例は少ない。なお、アジャスターによる調弦の際には自然フラジオレットを活用し、隣り合った低い方の弦の第3倍音と高い方の弦の第2倍音が同音程となるようにアジャスターで調整する方法もよく用いられる。