DSCN0068DSCN0069DSCN0070中央駅

午前10時、日本時間午後6時。
ツューリヒ ハォプトバーンホーフ。
この中央駅はドイツ、イタリア、オーストリア、フランス方面への国際列車が頻繁に発着し空港からもすぐなので、ジュネーヴのコルナバン駅と並んで、さながらスイスの表玄関という感じです。もちろんオリエントエキスプレスも発着します。

この駅及びその周辺は約15年前に数年の歳月をかけて再開発されました。再開発されたとは言え表明的には以前とほとんど変わらず、地下街が広くなることはあっても、地上の景観は昔とほとんど変わらず、利便性のみを高めていく、という姿は日本人も見習うべきだと思います。これは古い景観を守るというスイスの伝統(ヨーロッパの伝統全体からみてもそうなのですが)からくるものであって、何でもかんでも(たとえ良い物であっても、まだ十分使えるものであっても)全てぶち壊して新しいものを作り上げる日本人とスイス人との感覚は考え方においては、根本的にかなりの差があるというのは事実なのではないかと思います。

この駅舎は19世紀後半に建造された石造りで当時のままですが、施設や設備は最新式になっています。この駅はスイスには珍しく雑踏がありますが、パリのリヨン駅やフランクフルト、ミュンヘン中央駅にあるようなあのゴミゴミ感は全くありません。ある種の静寂感が常に保たれております。

街には早朝から深夜まで空いている銀行があり両替に便利。その他いろいろな店やレストランが入っています。昔は無かったエスニック系もあります。
地下にも乗り場が出来、地下街も広がりました。しかし以前からあった公衆トイレが今は全て有料トイレになってしまっていましたが、これだけは甚だ不便です!
何しろ急を要する時などほんとに困ります。まず小銭が必要になってきますし、飛び込めない不便さ、これだけは何とかしていただきたいものです!
これは以前、公衆トイレは麻薬常習者やガラの悪い輩の溜まり場になっていたこともその原因のひとつになっていたことによると思われます。
その他、今では街中のトイレはほぼ全て有料になっています。

昔、公衆トイレの照明は凄い青だったのが記憶にあります。あれは殺菌灯かと思っていたのですが、人からあれは注射防止の照明と聞いてびっくりしました。要するに静脈を見えにくくするためとか。因みに、中央駅の北側には国立博物館が隣接していますが、以前は入場無料でした。
しかしその後博物館の庭周辺がやはり麻薬の取り引きの現場になってしまったという経緯もあり、現在この博物館は有料になってしまいました。残念なことです。
まあ物騒な話はそれくらいにして私達は先に進みましょう。

中央コンコースも随分すっきりしました。昔はここに仮設の映画館等があり独特の雰囲気を醸し出していて、なぜか郷愁をかきたてられた思い出があります。でもヨーロッパの駅にはどこか“停車場”という雰囲気がありノスタルジーを感じさせますよね!
この駅はとても機能的だし創建当時の原形を留め全体的にとても重厚で美しい建物です。大阪駅始め地方のJR各駅(東京駅は別として)のあの安物っぽく薄っぺらな醜悪さから見れば、ため息が出そうな美しさです。伝統の差!
ベンチに座って行き交う人を見ても良し。そこにはドラマが見られます。
駅は人生の停車場、少しだけ立ち止まって人生を考える場所也。
この駅はそういうことを考えさせてくれる場所でもあるのです。