◎ タイプ 4
“走る人”

走ると言っても、演奏が曲の途中で無意識に速くなる人のことです。

どんな曲をやっても やたらと“走る”人はいますね。
初めは普通のテンポでも、気分が乗ってくると徐々に速くなったり、苦手な部分に近づくと焦って急に速くなる、など。
基本的に旋律が歌として歌えていないことがほとんどで、性格的にはやはり短気な人に多く見られます。気分と自分のテクニックが空回りしてしまっている時に特にその傾向は多く現れます。
このような生徒にいくら“走らないで!”と叫んでみても効果はまったくありません。
メトロノームを使用しても効果に変わりはないでしょう。
演奏意欲だけが先走り速くなる、こんな場合は指導の方法次第で、流れのある良い演奏になる事は多いものです、しかし焦りで速くなるのは基本的なテクニックからしっかり確認させるべきです。
場合によれば実際声に出して走る部分を歌わせても効果はあります。
別のケースとしては、4拍子なら強弱中弱、3拍子なら強弱弱など拍節的なリズム感覚が希薄な時にも“走る”現象は多く現れます。具体的には第1拍目がしっかり歌えていない事が多いです。そして裏拍つまりアップビートを感じていない(日本人はアップビートを感じるのが下手です)。こんな場合は必ず“走り”ます。これをまずしっかり認識させなければなりません。違いをはっきり弾き分けて聞かせ、場合によっては第1拍目を実際に強く弾かせても良いでしょう。小さい子供の場合は理屈が通じないので実際身体を使ってリズムを取る練習をさせるべきです。

続く