◎ポジション練習で何を生徒に教材として与えれば良いか、困ったことはありませんか?ウェルナーではあまりにも非実用的ですし曲として全く面白くありません。
私はリック ムーニーのポジション小曲集をレッスンの際、必要に応じて使用しております。
これはポジションの練習曲というより、生徒には面倒なチェロのポジションを先生とデュエットをすることによって、楽しみをもって慣れさせることを主眼として書かれています。
内容は、目的音の指を解放弦やフラジョレットを頼りにして取る準備練習から始まり、第二、第三ポジション…へと進んでいきます。
曲は全て生徒と先生とのデュエットで書かれています。
正しいポジション(音)を合わせるため解放弦やフラジョレットが頻繁に出てきます。とても良く出来た曲集ですが、難点は、やはり掲載されている曲があまり面白くないということ。幼稚な曲が多いですね。しかしウェルナーよりは遥かにましです。

私はこの曲集を生徒にはあくまでポジションの使い方の確認として与えております。子供はまだしも、大人にこの曲集で長時間レッスンすると必ずチェロに対して嫌気がさすと思うのです。適当な時期を見計らってオリジナルのチェロ曲を与えるべきでしょう。

この曲集には第二巻もあり第五から第七ポジションまで練習できるようになっております。チェロにとって非常に難しい中ポジションをこれだけ徹底して鍛えさせるエチュードは稀ですので、特に第二巻は利用価値は高いと思います。

この曲集には続編として親指のポジション曲集が二巻あります。この曲集はまず弦の真ん中二分の一の所に親指を置くポジションにかなりの紙数を割いて編集されていますが、この位置のポジションだとどうしても親指はフラジョレットに頼ってしまうのでいつまでたっても親指が強くならない、鍛えられない、したがって高いポジションでの音程がなかなか安定しないという欠点があります。

その意味から私は生徒には、書かれた調子を一音下げたり、または半音上げたりして弾かせたりもしています。例えばニ長調はハ長調にまたは半音上げて変ホ長調にと移調させます。
この方法ですと親指も強くなりますし、調性感覚も養われます。
リック・ムーニーを使ってレッスンされている方は是非お試し下さい。

終わり