◎ タイプ 5
心配性のタイプ
自分の演奏に対して全然自信が持てないタイプ。こんな人は音楽だけでなく、どんな分野にも多く見かけますね。とにかく自分に自信が持てない。難しい部分に近づくと急に固くなり萎縮してしまう。
いつも不安げに演奏します。一旦演奏でつまずくとガラガラと崩れて立ち直れないことも。
こだわりが強く心配性。固執性も強く少しのミスでもクヨクヨと悩みます。生真面目な人が陥りやすい傾向でもあります。
音楽は生き物であり未来に向かって進行します。過去にこだわっていては音楽は成立しません。ミスはいくら悩んでも修復不可能。すぐに忘れて先に進まなければならないのです。
これは人生そのものの教訓でもあります。
こんな人はどんなに宥めすかしても効果は無く、自分で気がつくのを待つしか手だてはありません。
では、このような場合、どうレッスンを進行すれば良いでしょうか。
やはり“タイプ1”でお話した方法とは反対に、あまり重箱の底をつつくようなくどいレッスンは避け、ある程度音楽的な流れを重視した方法をとらなければならないと思います。このタイプにも初見演奏は効果的です。
まず、現在のレベルよりも難易度が低いものから選ばなければなりません。何よりも音楽的な流れを喜びとして感じられるように導きたいものです。少々弾けなくてごまかしても最後までたどり着くことに重点を置くこと。
さて、以上五つのパターンについて簡単にお話ししましたが、人の個性など無限で、そんな簡単に他人が類型的に当て嵌めて考えることなど不可能です。実際には多くのパターンが混在し影響しあいながら一人の個性は形成されているのだと思います。
それぞれのタイプを欠点のように感じられた方もいると思いますが、じつは、それが長所でもあることを分かっていただきたいと思います。
それらの欠点を長所として自覚できる時、その生徒はあらゆる面で進歩できるでしょう。
教える方としては各生徒の個性の要素をできるだけ多く感じ取り、各自に合った独自のレッスン方法を組み立てなければなりません。絶対レッスンが類型的になったりマニュアル化されてはなりません。これはとても難しいことではありますが、やり甲斐のあることでもあるのです。
これはレッスンであると同時に“クリニック”でもあるのです。
終わり
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