あるプロオーケストラで経験したことを紹介します。
そのオーケストラではベートーベンの“第九”をやることになりました。第九はご存知のとおり大変な人気曲です。このオーケストラでも毎年決まって演奏しているのですが、今年はひとつ楽譜を新調しよう、ということになり、最近ようやく出た最新の研究による、ジョナサン　デルマール編のベーレンライター版 の高価なパート譜を購入致しました。
そこで楽団員が総出で行ったこととは一体何だったでしょうか？

驚くなかれ、使いふるしたブライトコプフ版のそれまた書き換えやら書き込みだらけのパート譜をそのまま新しいパート譜に書き写したのです！
我が目を疑いました。新しい楽譜を買ったのは一体何のため！？

これが現実なのです。
これでもあなたは“第九”を聴きに行きますか？