◎ タイプ 3
練習嫌いのタイプ

このタイプはある意味“タイプ1”にも共通する部分があります。
やはり基本的に要領が良いのでしょう。
結果良ければすべて良しといったところでしょうか。プロの演奏家にも時々見受けられます。
このタイプの生徒には物事を成就させるためには、その道程こそが大切であるということを理解させなければなりません。一曲仕上げるのに、こうでもない、ああでもないと色々悩み実験し試してみる事が、音楽の勉強の本来の楽しさなのです。
ですから、このような方は結果がすべてですから演奏会てミスをしたりするととても落ち込みます。
考え方を練習重視の方向に転換してみると、練習することそのものが大切なことが理解できるはずなので、たとえ演奏会であがってしまって上手く弾けなかったとしても、そんなに落ち込むことはないのです。できるだけ練習の時に色々なことが発見できるように、また練習の面白さを実感できるように導かなければなりません。つまりそれこそが楽器を弾くことの楽しさなのですから。

もう一つのこれに似たタイプがあります。それは自分自身本当にチェロが好きなのかどうかもうひとつ良く分かっていない生徒。ただ何となく続けています。勿論、練習もあまりしません。
普通の先生ならとても嫌がるタイプです。
その原因としてとても不器用であることも考えられます。思うように指が動かない、など理由はさまざまです。結果としてチェロに面白さが感じられなくなっている。

でもこんな場合でも心配するにはおよびません。
どんな形にせよ、物事が続く、続けられるというのも立派な才能だと見るべきです。こんな時に生徒の気を引こうとして焦るのは、残念な結果を招きかねません。それで続ける気を失えばそれこそ一巻の終わりだからです。導き方としては、ただ静かに見守り、とりあえず同じようなレベルの課題を与え続けます。そして少しでも意欲の片鱗が見えれば少しレベルアップして様子を見ます。
このタイプは本当に生徒との根競べになるでしょう。しかし、ある程度の成果が見られた時の喜びは格別です。生徒それぞれ個性も違いますし進む速さも違います。教師の趣味だけを生徒に押し付けることだけは避けなければなりません。
趣味を押し付けたつもりはなくても、生徒はあらゆる教師の個性を引き継ぐものなのです。

続く