◎ 第1番 ~ 第3番
今日は私の大好きなピアッティの無伴奏チェロのための12のカプリースOP.25についてお話しします。
皆さんご存知のようにアルフレード・ピアッティは19世紀後半にイタリアで活躍したチェロ奏者です。このカプリースはチェロのテクニックを限界まで追求したというよりも、チェロをいかに豊かに響かせるかに重点を置いて作曲されていることが他の、例えばパガニーニの無伴奏バイオリンのためのカプリースなどとは異なる所です。
曲全体に言えるのはメロディーがとても優しく一度聞くと耳から離れない、ということです。やはり歌の国イタリアの曲ですね。
残念ながら、かつてのバッハのようにエチュードとして弾かれることが多く、演奏会で弾かれることはあまりないようです。
しかし、一曲一曲が個性的で、さながら万華鏡を見るようでとても魅力的です。
まず、第1番から見ていきましょう。
プレスト、八分の六拍子、ト短調。
曲は速い16分音符で常に動き回る無窮働(常動曲)です。
このような音形では弓はアップ(上げ弓)から弾かなければなりません。そして速いテンポなので弓先で弾かなければならないのです。弓はしっかり保持しないと良い音は出ません。しかし握りすぎると肩から手首まで硬直してしまいます。逆に軽く持ってしまうと音に芯が無くなってしまいます。この力のバランスの取り方がとても難しい曲です。左手はチェロではとても押さえるのが難しい中音域での拡張のポジションが頻繁に出て来ます。
曲は、風が一気に駆け抜けていく、といった雰囲気(そんな風に弾くことができれば良いのですが)。二声で書かれ、メロディーが上に行ったり、下に変わったり目まぐるしく変化します。
次は第2番です。
変ホ長調のとても美しい曲。四分の四拍子、アンダンテ、そして敬謙に。
曲は重音を中心として書かれています。
私は一二曲中この曲が一番好きです。やはりチェリストが書いた曲。上手く弾くとチェロの音が最大限生かされます。色々な音が同時にしっかり押さえられる事が良く響かせるコツです。ABABの構成で成り立ち、Bの分は重音が分散和音に変化しますが、一番上の音が常にメロディーとして美しく歌えなければなりません。
ボウイングのコントロールがとても難しい曲でもあります。
次は3番。
アレグロ・モデラート雰囲気的にはスケルツォです。
親指のポジションでのオクターブと三度の交換の連続です。演奏はとても難しいですが、楽しい曲です。
よくこの曲を物凄く速く弾く演奏を見かけますが、あくまでもモデラートなので三拍子がしっかり感じられる速さで弾くべきだと思います。
この曲を弾くと昔、ハイポジションでのオクターブと3度がなかなか取れず苦労した記憶が蘇ります。
続く
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