◎ 皆様、明けましておめでとうございます!

旧年中は当教室のブログを拝読くださいまして、誠にありがとうございました。
本年も世のマンネリ化した音楽界に何か一石を投ずることができるような活動を続ける事ができたらと思っております。
本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

さて、今年第1回目のお話はピッチの問題です。
これは時代とともに変わる音楽的要求によって大きく変貌を遂げました。世の音楽に使われる音は随分甲高くなったのです。

私達弦楽器奏者にとっても演奏する際いつも問題になるのは音の高さ、すなわちピッチの問題です。
ここで問題としているのは、大抵ヴィオラやチェロ奏者、またはコントラバス奏者です。
そもそも、バイオリン奏者という人種はほとんどが自己顕示欲が強く目立ちたがり屋ばかりで、ピッチも人より高ければ高いほど満足するというような単純な人達ばかりです。大抵の弦楽カルテットの第一バイオリン奏者は音叉やチューナーで音を正確に取らずに自分本意でピッチを決めているように見えますね。あれなどメンバーとの話し合いなどしているのでしょうか。甚だ疑問です。
稀に例外もありますが、そのような自分本意な性格の人がバイオリンという楽器を選ぶのかも知れません。
やっぱりバイオリンという楽器は音も演奏スタイルも目立ちますからね。

では、ピッチが高くなるとどうなるのでしょうか?
当然のことながら音は甲高くなります。
したがって音が浮き上がって聞こえます。それは高音域でメロディーを受け持つバイオリンには好都合。音が甲高くなった分、バイオリン奏者はますます喜びいきり立って自分の存在をアピールするのです。

オーケストラや室内楽の歴史を見てもメロディーを担当するバイオリンを引き立てるために、又は派手に目立ちやすくするためにピッチは上昇してきたようなものでしょう。あくまでも単純に高音楽器、はっきり言えばバイオリンの都合だけでここまで上がってきたのだと思います。

ロマン派の時代に入り演奏の世界もヴィルトゥオーゾ的あるいは超絶技巧的な演奏が持て囃されるようになり、ますますピッチの高音化は加速されました。
とにかく人より少しでも高いと、良く目立つのです。ビルスマが言っているように、オーケストラで弾く時、隣の人より少しでも高くチューニングすることによって自分の音をより良く聴くことができるようにすることができる、これが少しずつ積み重なることによって現代世界のオーケストラのように異常な基音の高音化が進んでしまった、と言っておられますが、この考えも全く有り得る話です。

世界のオーケストラのピッチを見てもヨーロッパでは高いピッチが好まれているようです。A=445ヘルツという団体も存在します。まったく狂気の沙汰としか言いようがありません。バッハの時代は415かそれ以下でしたから(例外もあります)、半音以上も高いのですよ!
因みにモーツァルトの時代で430から435です。

続く