3月28日の午前9時頃、私の親友が亡くなりました。
 
土蔵正行君、
 
素晴らしいギタリストでした!
 
彼とは大阪市立桜ノ宮小学校の同級生で三年生からの付き合いです。
その頃から二人とも音楽が好きで、お互いの家でクラシックのレコードを聴いたりして、幼い時代を満喫していました。
 
あの頃は本当に幸せでした。
 
やがて小学校五年生の頃、聴くだけでは飽きたらず、私はピアノを習い始めました。
必死で練習していた私に感化された土蔵君も何か楽器がやりたい、ということでギターを始めたのです。
もともと音楽的才能があったのでしょう、彼はみるみる上達していき、六年生の頃には「禁じられた遊び」などを上手に弾いていました。
 
お互い影響しあいながらやがて中学に進学すると、私は音楽の道を選び、彼は一般の高校、大学への進路を選んだのです。
彼はその間もギターの腕を磨き続け、プロにはならなかったものの立派なギタリストに成長しました。
 
やがて大学を卒業するとお互いの仕事も忙しくなり住む地域も離れていくもの、やがてそれぞれ結婚して家庭を持つと、会う機会も少なくなりました。これは当然のことです。
 
そうこうしている間に年月も過ぎ去り、お互い還暦を越え、、、
 
久しぶりに会おう、とメールなどでやり取りしていましたが、昨年の8月、土蔵君は私の家まで遊びに来てくれました。
 
その時は昔同じように音楽のことやお互いの家族の話などで、楽しい時間はあっという間に過ぎ去りました。
二人共、無事に還暦を過ぎたので、そろそろやりたいことだけやって過ごしたいね、などと語り合ったものです。
手始めとして今年秋にしている、川内昌典チェロ教室の発表会にゲストとして出演を依頼しました。
演目はファリャのスペイン民謡組曲。チェロとギターのデュオ版です。
 
その時、今から思うと彼は少し気になることを話していました。
最近、背中や腰が神経痛で痛く、あまりギターが弾けない、と。
その時は、自分も腰やあちこち悪い、お互いもう若くないから身体には気をつけて頑張ろう、などと励ましたのですが、、、
昨年12月1日に私はちょうどリサイタルを控えていたので、
リサイタル当日、会場で再会する約束をしてその日は別れました。
 
リサイタルの時もいつものように彼は私の演奏を誉めてくれました。
辛い体調にもかかわらず聴きに来てくれたのです。
 
 
それから程なくして、大きな病院で検査を受けたところ、癌が見つかったのです。
 
転移性骨腫瘍でした、、、。
 
すでにステージ4、
手術も出来ない状態、、。
それを聞いて唖然としました。
 
それから、土蔵君は治療に専念しました。
 
抗がん剤治療と放射線治療。
そして、癌の影響で動かなくなった指のリハビリ。治療の合間もギターは練習していたようです。
 
辛かったと思います。
 
秋の発表で私とデュエットすることを励みに治療を頑張ってくれました。
 
ありがとう!
 
 
彼は先に逝ってしまいましたが、周りには大きなものを残してくれました。
人を思いやる彼の優しい人柄は皆を幸せにしました。私も彼の声援のお蔭で、ここまで成長することができたのです。こんな友人を持てて幸せです。
 
できなかったデュエットは、そう遠くない将来、そちらの世界で実現させましょう!
 
それまで待っていてください。
 
残されたご家族のご心痛ははかり知れません。
ご冥福をお祈りします。
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