世界を席巻するコロナ禍の猛威は衰えることを知りません。しかし、季節は無情にも秋へと進み、芸術への憧れや美への渇望感は益々高まるばかり。今年も後2ヶ月少々を残すだけとなりましたが、何とかコロナなどに負けず、来年も皆さまと共に芸術を共感していきたいものです。
今日は来月私が出演する演奏会の予告をさせていただきます。
日時及び会場は添付した写真にある通り、堺市東文化会館フラットホールにて11月21日の午後2時開演です。
ここでまず、「室内楽の輪」というタイトルを説明する必要がありますね。これは今回のコンサートで演奏するグループの名前で、ピアニストの中牟田豊子先生を中心に堺市を拠点として活動する若いピアニストの演奏グループです。主に、チェロソナタやピアノトリオ等、ピアノが入った室内楽を中心に研究演奏しています。
私は3年前からこのグループで、楽曲研究のお手伝いとしてチェロを弾かせていただいております。現在、このグループではラフマニノフのチェロソナタ、フォーレのチェロソナタ第二番を練習中ですが、それらもまたいずれお聴かせする機会もあるでしょう。
さて、今回の演奏会で私が演奏する曲目について、少し説明させていただきます。
まず、ベートーベンのチェロソナタ第一番。これはベートーベンが26歳の時に作曲されました。フリードリッヒ・ヴィルヘルム二世の宮廷でベートーベン自身のピアノと名チェリスト、ピエール・デュポールによって御前演奏されました。当時、名ピアニストとして名を馳せたベートーベンの素晴らしい演奏テクニックを想像させる、傑作です。今回、私がこの曲を演奏するのは、かつて私が名古屋で20年間演奏活動していた、ラッハナーアンサンブル協会の神戸での演奏会以来ですから、実に20数年ぶりですね。あの時はピアノはフォルテピアノというモーツァルトからベートーベンの初期時代の古楽器でしたが、今回はモダンのグランドピアノで演奏します。演奏時間は30分におよぶ大作。若いベートーベンの情熱溢れる傑作をお楽しみください。
そして最後に演奏させていただくのはサン・サーンスの「白鳥」。これは言わずと知れたチェロの名曲中の名曲です。しかし、今回の演奏会では、一つ大きな目玉となる趣向を用意してあります。
ところで、この曲がバレエの作品として振り付けられ、短い曲ながら尊敬の念をもって大切に踊られているのをご存知の方も多いと思います。今回の演奏会では、いわゆる「瀕死の白鳥」として演奏します。つまりバレエ作品として上演するということ。
では、なぜチラシにそのように書かれていないのか?
それは、このアイデアが先日、急遽実現する見通しがついたからです。それも、それはバレエ関係の仕事をする私の妻の提案なのです。それまで演奏会の最後を「白鳥」で締めるのは難しいな、負担が大きいなと思っていた私は、妻の助言通り早速ピアニストの中牟田先生にバレエが入った「瀕死の白鳥」版で上演することを提案しました。すると先生も、これは皆さんに喜んでいただける、と大賛成してくださったのです。これで演奏会の最後をいかに「白鳥」で終えるにはどうすればよいのか、という難題もスムーズに解決しました。
今回の「瀕死の白鳥」では、堺市を拠点として活動されている「野間バレエ団」のソリスト荒瀬結記子さんに踊っていただきます。
しかし、問題はまだまだ山積です。
踊る床をどうするか、演出をどのようにするか、プログラムにはどのように紹介するか等々。
しかし、「瀕死の白鳥」バージョンで上演すると決まったからには、なにがなんでも成功させなければなりません。
皆さんの力をお借りして、何とか最高のパフォーマンスをお届けできたら、と思っております。どうぞご期待ください。
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