当教室でよく使うチェロの教材として、前回はリック・ムーニーの「ポジションピース」第一巻と第二巻を紹介しました。この本は世間ではまだあまり使われていないようですが、ポジションの使い方や応用方を体系的に示した例として、もっと広く使われるべき教材だと思います。
 
今日は、これも世間ではあまり使っている先生は見かけないのですが、私の教室ではよく使い良い効果を上げている楽譜を紹介します。
それは、ドッツアウアーの「メソッド」第一巻と第二巻です。ドッツアウアーの練習曲と言えば「113」のエチュードをまず思い浮かべますが、ここで話題とするのは「メソッド」の方で「113」の練習曲とは全く別物です。
 
まずこの本の特徴は、添付の写真でわかるように二重奏が沢山取り入れられているということ。
二重奏の合間に左指の練習、いろいろなボウイングの練習、音階練習が含まれています。基本練習の後に、教師とのデュエットで成果を試す形になっております。
第一巻は第一ポジション主体、第二巻は第二ポジションから第四ポジションまで網羅されます。
 
各二重奏曲はとても良い音楽的趣味で書かれており、生徒は音楽に対する興味を失うことはありません。
教師と共にデュエットすることで正しい音程や音の共和を体感することができるのです。
ドッツアウアーというチェロ奏者は現在では113のエチュードの作者としてのみ知られる存在ですが、作曲家としても第一級だったことがわかります。
もちろん113の練習曲(彼の弟子が編纂)素晴らしいエチュードですが、この二巻の「メソッド」はチェロの基本的な指遣いや弓遣いを極丁寧に示し、さらに生徒には良い音楽的趣味を身につけさせることが自然な形でできるメソッドとして、もっと使われてよい本だと思います。
添付した楽譜はインターナショナル ミュージック社版の楽譜ですが、他にカールフィッシャー版、ペータース版などがありますが、内容は余計な書き込みのないインターナショナル版が良いと思います。
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