◎4  アマオケの弊害  続き

そこでオーケストラを目指す方々に提案があります。アマチュアオケに情熱を傾けるのは素晴らしいことなのですが、まずどんな無理な弾き方をしてもそう簡単には崩れないような基礎を身につけてから、大編成の曲に挑んではどうでしょうか。曲は逃げません。十分テクニックを磨いてからでも遅くはないのですから。
みんなでガチャガチャゴシゴシやって弾けた積もりになっているのは淋しいものですよ。

それでも今すぐオーケストラで弾きたいのならハイドンやモーツァルト(後期の交響曲はは強烈に難しいです!)の中期までの交響曲を弾くべきです。
彼らの作品は常識的な技術の範囲内で最高の効果と満足度が得られるように書かれています。大編成の難しい曲で全然弾けずフラストレーションに陥るよりはマシだとは思いませんか?

それと、オケプレイヤーは室内楽をすることが大切です。
オーケストラは大きなアンサンブルでもあるのですから基本は緻密な室内楽なのです。決して意地の張り合いや欲求不満のはけ口ではありません。

和声の基本は四声ですので、やるのなら四重奏が最高です。ここでもハイドンが登場します。数多い作品の中、初期の弦楽四重奏を弾くだけでも演奏技術や合奏技術は格段に向上します。

それでもヴァーグナーやマーラー、ブルックナーなどの意味なく難しい曲を弾きたいと仰る方は、弾ける部分だけ弾くしか仕方がないでしょうね。弾いているような格好をするのです。下手に弾いて全体の音を濁すよりは遥かにマシです。泥の上塗りは良くありません(恥の上塗りとまでは申しません!)。
また、皆のために頑張らなくちゃ、などと変な正義感を燃やし自分のテクニックを台なしにするよりはマシです。これはプロオケにも当てはまることです。
むやみに“自分が何とかしなければ”などと大それたことは考えないことです。
それで上手くいけばいいのですが、大抵は自分の意志とは裏腹に音と気持ちは空回りするばかりなのですから。

続く